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ホンダが消える28 テスラを超えられないアップル、並みのEVなら断念?! 

  アップルの電気自動車(EV)がエンストしているようです。内燃機関エンジンを搭載していないのでエンストしようもないのですが、当初の開発目標の完全自動運転は遠ざかるばかり。力技でEVを開発、生産するテスラと違って、徹底した完成度を追求するのがアップル。この美学を捨ててEVを投入したらアップルは”テスラ”と同じ。テスラを超えるためにホンダと手を組むか。あるいはEVを断念するのか。選択肢は絞られてきました。

アップルカーはだいぶ遅れそう

 米ブルームバーグの報道によると、アップルは開発しているEVの発売時期を2026年に延期するそうです。発売時期は25年を予定していましたから1年の延期。実現をめざす完全自動運転にめどが立っていないのが理由だそうですが、この1年遅れのニュースをどう捉えるか。とりあえず1年遅れと設定したのか、それとも技術開発の目処がつかず1年以上は遅れると考えているのか。

 アップルはブルンバーグの報道に対して何もコメントしていませんから推察するしかありませんが、長年自動車産業を眺めてきた経験をもとに考えれば、EVそのものは開発・生産できる段階に手が届いたものの、他社のEV並みのレベル。後発組のアップルが遅れて投入しても、「あのアップルが普通のEVを発売するとは・・・」と評価を下げるだけ。EVの開発を今後も継続する意欲を持っているかどうかについても疑問を感じます。

アップルは普通のEVを発売するか

 その論拠が大幅なコンセプトの変更。アップルのEVは、ハンドルやアクセル・ブレーキのペダルを無くする斬新な発想を前提に設計、開発されていました。ブルンバーグの報道によると、アップルはこのアイデアを捨て去り、普通の自動車と同じようにハンドルやペダルを装備することを妥協。自動運転は高速道路に限定するようです。それでいて価格は10万ドルと高価格帯。

 EVの技術レベルだけで比較すれば、日産自動車がすでに開発した車とさほど変わらないのではないか。価格も考慮したら、日産車を購入するのがスマートでしょう。

 諸々を総合すると、アップルのEV開発は全然、うまく進んでいないという結論に落ち着くそうです。

でも誇り高きアップルです、このままでは

 負けず嫌いのアップルです。開発中のEVにはアップルがMac向けに独自開発したチップのうち最上位のスペックを採用するとの報道も流れています。誇り高きアップルブランドを他社のEVと同じレベルに並べられるのだけはゴメンと言っているかのようです。

 改めて自動車の開発・生産に立ちはだかる壁の厚さと高さを痛感します。アップルはポルシェ、テスラやランボルギー二などからベテラン技術者をスカウトして、自動車のノウハウ取得にも熱心です。EVや完全自動運転の技術やノウハウは、iPhoneなどスマホの開発を通じて世界レベルの技術者と知見を蓄えています。

 ハードウエアもソフトウエアもテスラや中国メーカーなどと比べても遜色ないはずです。それでも、アップルは自らのブランドにふさわしいEVを開発することに立ち往生しています。

 これまでも繰り返し書いていることですが、電機製品が故障しても命を落とす可能性は低いのですが、自動車が故障し、事故を起こしたら命を失います。アップルは安全工学の専門家をフォードからスカウトしているそうですが、自動車の安全試験は想像を絶する世界です。

「空力性能に納得するまでにテストドライバーが3人死んだ」。フォードの開発担当副社長がボソッと教えてくれたことを忘れません。当時は空力性能の高さが高級スポーツカーを証明するとされ、欧米、日本の自動車メーカーは空力性能を極める競争が激化していました。

 EVは欧米や中国などで急速に普及していますが、クルマとして成熟するのはこれから。テスラが故障やリコールを繰り返しても、「EVだから」の言い訳がまだ通用することからわかるはずです。

アップルの本気度を疑いたい

 一部報道によると、アップルは、改めて自動車メーカーとの提携を再検討しているようです。これまで目標としていたハンドルやペダルの無い完全自動運転のEV開発を断念し、ハンドルやペダルがある普通の自動車開発に切り換えたことで、独自の車体プラットフォームが不要になったからです。

 アップルがめざす世界のどこにもないEVを実現する自動車メーカーはどこか。これまでも何度も予言してきましたが、それはホンダ・ソニーしかいないでしょう。ハンドル無し、ペダル無しのEVを断念したニュースを見た時、ホンダ・ソニーへ提携への秋波を送ったと感じたのは私だけではないでしょう。

 

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