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ホンダが消える26 テスラを超えるならソニー主導 ホンダは自動車を捨てる覚悟を

 毎日、健康と気分転換を兼ねて散歩する道沿いに「黒いテスラ」が停車していました。そう電気自動車(EV)として世界で最も注目を集めるクルマです。つい最近、1台あたりの純利益がトヨタ自動車の8倍に達したと話題を振りまいていました。それよりもSNSサービスのツイッターを買収したイーロン・マスク氏が創業した米国の自動車メーカーという方がわかりやすいかもしれません。

テスラは街の電気屋さん

 テスラの車両後部のトランクは開いたまま。工具や機械部品などが並んで見えます。「そういえば、この地域の駐車場に白色のテスラががあったなあ」と想像していたら、ツナギを来たテスラのスタッフらしき人が停車する目の前の駐車場から現れました。

 「テスラって修理の出張サービスするんですか?」。思わず質問してしまいました。

 「そうですよ。普通のディーラーさんはしませんよね。テスラは出前するんですよ」と笑いながら、答えてくれました。

 テスラの販売は日本の自動車販売と全く異質。オンラインで販売手続きを済ませるなどわずか無駄も省きます。日本ではまだ馴染みのないEVでもあり、修理依頼があれば電話一本、いやきっとメール一本で駆けつける体制なのでしょう。まるでパナソニックが得意とする「街の電気屋さん」のよう。

 目からウロコ。そう、電気自動車は自動車販売じゃないのです。街の電気屋さんが扱う製品の延長線上にあるのです。

 ホンダ とソニーが10月、EVを共同開発・販売する共同出資会社「ソニー・ホンダ モビリティ」の発表会を開きました。注目された新車の概要は来年1月に米国で開催する情報技術イベント「CES」で明らかに予定ということもあって、新聞やネットメディアなどみていると発表会の様子はまるで雲と掴むようです。ホンダ もソニーも初めての二人三脚。どう走って良いのかまだ五里霧中の気分でしょう。

折半出資の合弁は成功しない

 心配なのは新会社が折半出資で設立したことです。自動車、電機それぞれで世界ブランドとして名を馳せたホンダ 、ソニー。お互いに50%を出資する対等な関係を維持しながら、それぞれの強みを化学反応させた世界のどこにもないEVを創造しようという意気込みの表れです。

 しかし、折半出資で開始した合弁事業で成功した事例はあまり記憶にありません。相互の強みがぶつかり合い、昇華するのなら良いのですが、ぶつかり合ったまま崩壊する結末もあります。

 ホンダ もソニーも、テスラが描き出したEV成功の道をなぞるように事業を拡大することは考えてもいないでしょう。「テスラにはならない、テスラを超える」という思いのはずです。

テスラにはなれないが、超えられる

 一年前の昨年にホンダ とソニーの提携を予想し、ずばり当てた人間として、まず指摘したいのは、ホンダ ・ソニーはテスラにはなろうと思ってもなれないことです。テスラは自動車メーカーでもなく電機メーカーでもない。

 テスラはテスラ。イーロン・マスク氏の発想には産業という言葉はありません。テスラというEVを創り上げるために必要な部品を世界から集め、生産する会社を創業したが、それがたまたま自動車産業の業容に見えるだけ。

 しかし、テスラは超えられます。イーロン・マスク氏の発想から生まれた強みは逆に弱みにもなるからです。ツイッター買収後のマスク氏の言動をみてください。さすが、としか言えません。横暴にも映る独裁的な経営手腕はホンダ もソニーも真似できない。でも、ホンダ もソニーもマスク氏でさえどうしても手にすることができないものを持っているのです。

ホンダ は自動車を捨てられるか

 独創的な技術開発と経験、そして成功と失敗。戦後生まれの両社はともに70年を超える歴史を持ち、うんざりするほどの失敗とわずかな成功を抱えています。マスク氏が欲しいと考えたら、ホンダ ・ソニーをセットで買収してしまいたいと考えるかもしれません。

 誰も手にすることができないホンダ とソニーの力をどう活かすか。まずはホンダ が自動車メーカーの自負を捨てられるかどうか。テスラが追随できないEVを創造するには、自動車メーカーの常識が呪縛になります。そしてソニーが主導する形でEVを開発し、ホンダ が下請け覚悟で二人三脚の意識を維持できるか。

 ともに誇り高い会社であることは十分に承知しています。ホンダ がこれからもホンダ として存続し、自らの夢を叶えるためには、一緒の舞台にのぼったソニーをどう踊らせるのか。陰の主役として一歩退くことができるかにかかっています。

新たな主役も期待したい

 そしてもう一人の主役候補、アップルをどう舞台に引っ張り出すのか。イーロン・マスク氏が買収しようとしても敵わないEVを世に送り出すためには、どうしても欠かせない配役です。

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