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ホンダが消える27 アップルが日本製MacEVを決断する日 iPhoneより輝くクルマとは

 アップルが電気自動車を開発しています。最近、開発状況が伝わってきません。もともと秘密主義の会社です。iPhone、Macbookなど新製品に関する情報ですら、発表寸前まで憶測と期待が入り混じり、何が真実かわかりません。アップルが開発に取り組む電気自動車も、2025年に発売されるとのニュースが流れる一方で、開発チームが解散して頓挫しているとの見方も。

アップルの新車発表を夢想

 アップルカーの先行きが怪しくなった今こそ期待と憶測を交えて、近い将来開催する記者会見を夢想してみます。

 アップルのCEO、ティム・クックさんが壇上に現れました。目の前にはアップルカー。未来車らしく、今から空を飛ぶような尖形のボディに目を奪われます。無人の自動車走行も可能なレベルに到達しているので、車内空間には運転席が見当たらず、リビングルームのよう。移動中は、みんなと楽しく会話したり映画や音楽を視聴したり。iPhoneのアプリをフルに使い、目的地に到達するまでエンターテインメントの時間が続きます。

 「さあ、お待たせしました」。ティム・クックさんはにこやかに笑い、壇上に大きく映し出されたパネルを指差します。「アップル」の横にはHONDAとSONYが輝いています。

 アップルが自動運転の技術開発を公表したのが2015年。「アップルカー」構想は「プロジェクト・タイタン」と呼ばれ、その後もさまざまな情報と憶測が飛び交っています。自動車運転に関する技術開発とデータを収集するため、テスト走行を繰り返すが事故を起こしたとか。あるいは、電気自動車メーカー「テスラ」で自動運転開発を担当していた技術者がアップルに入社し、すぐに退社したとか。

情報と憶測が飛び交う開発パートナー

 開発・生産などで提携する自動車メーカーの名前もまことしやかに囁かれます。「フォルクスワーゲン 」「日産自動車」「現代」など。いずれも世界の自動車市場で信頼されるブランドとして知られ、電気自動車の開発で先行する主要自動車メーカーばかり。

 アップルは自ら生産することはしません。主力製品のiPhoneを例にみても、台湾のフォックスコンに生産委託しています。電気自動車に進出する際も、高品質を維持しながら割安に量産できる自動車メーカーをパートナーに選ぶのは間違いありません。iPhoneを受託生産するフォックスコンが電気自動車に関心があるため、アップルカーの生産も委託するのではないかとの見方もありますが、その確率は低いはず。労働問題で混乱する中国工場の現状を考えたら、可能性はかなり低いでしょう。

 携帯電話は故障しても死亡事故はほとんど起こりませんが、自動車は故障したら命に直結します。自動車の生産は技術だけでなく長年の経験に裏打ちされた信頼性がなければ、手を出してはいけません。アップルは携帯電話と自動車の違いは十分に理解しているはず。

 それではフォルクスワーゲン や日産は最有力候補でしょうか。フォルクスワーゲン のCEOは2022年9月、交代しました。ガソリンエンジン車から電気自動車へ大きく舵を切ったヘルベルト・ディース氏が退任し、後任としてポルシェCEOのオリバー・ブルーメ氏が就きました。ディース氏はまだ任期途中です。フォルクスワーゲンは権力争いで知られており、交代の理由はいろいろ取り沙汰されていますが、労組の抵抗を押し切ってまで電気自動車へシフトするディース氏の経営手腕も災いしたといわれています。

 日産はどうでしょう。日産は長年の課題であるルノーと資本提携の交渉が難航しています。ルノーが日産を大きく上回る資本比率を対等関係に修正するやり取りが続けられていますが、交渉材料にルノーが新設する電気自動車の会社へ日産が出資するかどうかの問題が加わっています。日産は電気自動車や自動運転の事業化に自信を深めており、ルノー以外に新たな電気自動車を巡る交渉に臨む意欲はないでしょう。「外資との交渉はしばらく勘弁して」という言葉が聞こえてきそうです。

 アップルが本気で電気自動車を開発・生産する相手は絞られます。韓国勢とは携帯電話に関する訴訟問題の経験から距離を置くと思います。ドイツ勢は?ベンツが控えていますが、誇り高きベンツです。新参のアップルと一緒に並ぶとは思えません。

消去法でみてもホンダ・ソニー

 やはりホンダ・ソニーが最後のカードとして残ります。ホンダもソニーも世界最先端の分野に挑戦するのが大好きな会社です。技術優先に走り、モノづくりが追いつかないのもアップルと同じ。それぞれ誇り高いものの、ベンツやトヨタ自動車とは違った誇りです。世界で誰もやっていないことなら、手を結ぼうと考える”軽さ”を持ち合わせています。

 しかも、ホンダはソニーと一緒に電気自動車を開発・生産する過程で、アップルとパートナーシップを結ぶ難しさを擬似体験します。自動車メーカーとして安全性など譲れない線を明確にして、エンターテイメントや情報通信など新たに取り込む新技術やアイアデアをどう組み込むかを現在、勉強している最中です。

ホンダはソニーでアップルとの開発を擬似体験

 ソニーとアップルが衝突する恐れはないでしょうか。両社ともケンカする相手が違うとわかっています。スティーブ・ジョブスはソニーを尊敬する企業と話しているぐらいです。互いの強さと弱さに対する見極めはすぐに終わります。ソニー「Xperia」とiPhoneの使い分けで揉める可能性があるぐらいです。

 ソニーもアップルも趣味で電気自動車に進出する程度なら譲れないでしょうが、本気で世界の最先端の電気自動車を誕生させる気持ちが共有できるなら、些末な問題です。購入者がソニー、アップルどっちが好きか嫌いかだけです。

 アップルカーが2025年に登場するなら、あと1年以内に開発・生産のパートナーが明確になります。日本製のMacEVを早く見たい、楽しみです。

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