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ホンダが消える42 EVの提携戦略が千日手に GM、日産と躓き、独創を貫き、独走するしかない

 ホンダが米GMと一緒に事業化を進めていた自動運転のタクシー事業が消えました。両社で共同出資会社を設立し、無人によるタクシーを運行する計画で、ホンダは2026年から東京都内で開始する予定でした。ホンダとGMは2013年から燃料電池車の共同開発を始めて以来、電気自動車(EV)にも手を広げ、次世代車への基盤整備に取り組んでいますが、めぼしい成果が上がりません。傍目からみると、GMとの提携を右往左往しているように映ります。

提携しても右往左往

 もっと先行き不透明な提携があります。日産自動車と合意したEVでの協業です。2024年3月、日産自動車と協業を合意。8月には三菱自動車を加え、EVのソフトウエアなど基礎技術の研究にまで広げ、ホンダ、日産、三菱3社の提携関係はより踏み込んだ内容に深まりました。

 ところが、3ヶ月後の11月に躓きます。日産が発表した2025年度中間決算は90%超の大幅減益を計上する惨憺たる内容でした。経営再建に向けて世界の生産力の2割をカットするほか、従業員の7%に相当する9000人を削減します。

 もっと驚いたのが経営陣の人事交代の内容。内田誠社長が引き続き残留するほか、CFO(最高財務責任者)に米国事業の担当役員が就き、現在のCFOは中国事業の担当役員に移ります。大幅減益の主因は米国と中国の販売不振です。大幅減益を招いた米国の責任者が財務戦略を担い、無謀な販売奨励金に警告を発しなかったCFOがもう一つの赤字要因の中国の責任者となる。経営責任を明確する経営陣の交代というよりは、内田社長の経営責任逃れと批判封じの人事にしかみえません。

 ホンダがこんな経営陣が指揮する日産とEV戦略を進めても、成果を期待しろという方が無理でしょう。

惨状ともいえる日産も期待薄

 ホンダの三部敏宏社長は2021年4月、社長就任会見で宣言しました。2040年を目標に発売する新車はすべてEVか燃料電池車に切り替える。地球温暖化の主犯扱いされるエンジン車を諦め、欧米の自動車メーカーが先行するEV開発を追い上げ、追い抜く覚悟を示しました。ホンダ単独はもちろん、すでに提携しているGMと共にEV開発を加速する一方、自動車産業の枠に縛られないEVを創造するため、ソニーと共同開発することにも合意。合弁会社を設立しました。

 ホンダが手がける提携はGM、ソニー、日産・三菱と華々しい企業が並びます。しかし、GMや日産・三菱の提携は目論見通りに進んでいると断言できるのか。EVを開発しているにもかかわらず、まるでエンジン車のエンストのよう。進んではストップを繰り返し、とても前進しているようには思えません。同じ場面を何度も繰り返す将棋の千日手を彷彿してしまいます。

 EVはまだ草創期です。難度の高いテーマであることはわかっています。トヨタ自動車はホンダ同様、EV、燃料電池車の実用化を加速していますが、いずれも欧米、中国の背中を追う立ち位置にとどまっています。世界で最も先行した米テスラの開発を振り返っても、発売後に発生するリコールや事故などをみればEVの完成度が不足していることがわかります。まして自動運転は周囲の自動車や人の流れを見極め、安全に運転することが求められます。提携がすべて成功するわけではありません。

やっぱり創業の理念に従い、独創しましょう

 ホンダは元々、提携下手です。独創性と熱い夢を追う創業者、本田宗一郎さんを継承するDNAがそうさせるのでしょうか。将来の布石と熟慮して提携相手を選んにもかかわらず、結局は頓挫してしまう。パートナーを見る目がないのか、それとも相乗効果を引き出す戦略的な経営力が乏しいのか。ホンダの熱量に相手がついていけないのかもしれません。

 やっぱり創業理念に従い、独創的なEVを創造し、世界一の自動車メーカーとして独走しましょう。

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