
「ニデックってどうなる?」虚飾決算で一敗地に塗れる永守神話 焦点は再建シナリオに
ニデックで何が起こっているのでしょうか。決算を巡る疑いは深まるばかり。全容が判明しておらず予断は許されませんが、最終的には創業者の永守重信氏の進退にも及ぶ可能性も否定できません。小型モーターはじめ事業内容は最強クラスですから経営基盤が揺るぐことはないでしょうが、経営陣の刷新や事業改革は議論されるのではないでしょうか。
ニデックは創業者の永守氏が築き上げた不敗神話が成長戦略の原動力であり、それが個人投資家から大きな信頼を集めていました。その神話は虚飾に塗れた決算で折れ曲がりそうです。誰が一敗地に塗れたニデックを再建するのか。近い将来、浮上する救済シナリオが注目されます。
監査法人「意見不表明」、通期見通しは未定
ニデックは10月23日、2026年3月期の業績予想を未定にすると発表しました。不適切会計の疑いについて第三者委員会が調査しており「調査状況を勘案した」と理由を説明しています。中間配当金を無配とし、期末配当の予想も未定。今後、連結業績や期末配当の予想が可能になった時点で公表するそうです。
異常事態です。ニデックは26年3月期を売上高が前期比0・3%減の2兆60000億円、純利益が19%増の2000億円と公表していました。東証の優良銘柄で高い人気を集めていたニデックが通期決算見通しを明らかにできない事態は予想もしませんでした。当然ですが、公表していた自己株式取得も中止。26年5月27日までに最大350億円の自己株式取得を予定していました。
1ヶ月前の9月26日には監査法人のPwCジャパンが25年3月期の有価証券報告書について「未発見の虚偽表示がもしあれば、連結財務諸表全体に及ぼす可能性のある影響が重要かつ広範であると判断した」との理由で、その適正性に対し「意見不表明」としています。全容が明らかになっていない段階ですから予断は許されませんが、株式上場すら危うい事態が起こるかもしれません。先行きに不安が広がり、株価は大幅に下落しています。
不敗神話は傷だらけ
発端はニデック本体やグループ会社で不適切な会計処理の可能性のある事案が見つかったこと。現在は第三者委員会が不適切会計の詳細と原因を調査しており、全容は判明していません。
ニデックが大きく傷ついたのは間違いありません。第三者委員会が全容を明らかにした後、不適切会計が発生した責任の所在、処理などが議論されます。どのような結末を迎えるか全く予想できませんが、経営の実権を握る永守氏が全く無傷に終わるわけがありません。
現在の経営陣は永守グローバルグループ代表を筆頭に岸田光哉社長・最高責任者(CEO)、前社長の小部博志会長の3人が経営判断しています。不適切会計の端緒はイタリアや中国の子会社が関与しています。グローバルグループ代表である永守氏がどう関わったのか。ニデックは解明し、説明しなければいけません。
大胆な経営改革は避けられない
ニデックはこの窮地をどう乗り越えるのか。ニデック社内で新たな経営戦略を練り上げる人物は誰になるのか。あるいは外部から支援する動きが現れるのか。
素晴らしい技術と生産を兼ね備えた広範な事業内容を考えれば、ニデックがこれまで通り順調に事業継続することを望む企業ばかりです。再建シナリオは皆目、視界に入ってきません。ただ、大胆な経営改革は避けられないのではないでしょうか。テレビCMは盛んに「ニデックってなんなのさ」と連呼しますが、むしろ「ニデックってどうなるのでしょうか」という不安が耳の中で響き続けています。

