焼き鳥 Good Day 梅田、曽根崎、西天満 Brand New Day

 大阪を久しぶりに歩きました。梅田から曽根崎へ行き、西天満、福島を巡りました。道中はお酒を呑みながら。定番の北新地や道頓堀はもともとツボにハマっていませんので、北新地は通り過ぎただけ。別件で神戸市を訪れたついでに、コロナ禍も落ち着いたので馴染みのお店回りをしようと思ったのですが、残念ながら望みは叶いませんでした。

大阪駅周辺は大規模な再開発が進行中

あのお初天神の飲食店街が火事に

 目的地は曽根崎・お初天神すぐ横に広がる飲食店街。ところが2021年11月に火事になっていたのです。つい最近まで全く知りませんでした。2年ぶりなのでコロナ禍でも営業しているかをネットで確認したら「お初天神近くの焼き鳥店で火災」の記事が目に飛び込んできたました。その焼き鳥屋さんに行こうと思っていたのに・・・・しかも、その焼き鳥店の二階の居酒屋は日本中でも最も大好きなお店のひとつ。なんと好きな2軒が火災に襲われていました。

 お初天神境内すぐ横の焼き鳥屋さんは、店の前に立った瞬間ワンダーランドを予感させてくれました。店内は期待通りのエンターテインメントが待っています。薄暗いのですが、お母さんと娘と思える女性2人が忙しく動き回っています。カウンターはちょっと斜めになっていて、ビールやお酒を注ぐとコップの中も斜めに。椅子に座って「この風景、なかなか無いよね」とうれしくなります。店内はテーブル席がいくつもあって、どれも遊園地のコーヒーカップがぐるぐる回る様にみんな楽しそう。焼き鳥、お酒よりも店の空気がおいしい。

 注文はなかなかたいへん。料理場などで機敏に動き回るお母さんと娘さんと息を合わせなければいけません。お相撲の立ち会いと同じです。もっとも注文しても、料理はお任せ。でも、お任せがすごいのです。一度、全部出揃う前に注文を止めようと思ったら、「次に来た時は、前回の最後の料理を言ってもらえれば続きから出すから」とお母さん。料理はかならず全て味わって欲しいとの気持ちが伝わります。実際、次回訪れた時は、「続き」から始まりました。感謝です。

 お母さんと娘さんは本来仲が良いのでしょうが、店内では適度な緊張関係が維持されています。お客さんからの注文をテキパキとさばきながら、結構な頻度で言い争いをします。空気が緩んだ時がお酒を注文するチャンス。ここでも間合いが大事。お店を出る時は、お腹も心も気持ち良く、大阪の暖かさを再確認できるのがうれしかった。お店が再開したら、「この前の続きからお願い」と注文するつもりです。

 焼き鳥屋さんの二階にある居酒屋は大阪でも屈指の人気店といって良いはずです。といってもお店の場所が分かっても、最初は入り口がわからない人が多いはず。これかなと思ってドアを開くと、目の前に急な階段が待ち構えて立っています。本当にお店なの?と微かな疑問を抱きながら、2階に辿り着くと左手に調理場、正面奥にカウンターとテーブル席があります。

 大阪で雑談していると、好きなお店として店名をあげる人は多いのですが、「予約が取れなくてねえ」と続きます。広くはないので客数は限られます。そこから生まれる「適度な密」が心地よい。料理はうまく、日本酒の品揃えが素晴らしい。大阪は食い倒れの街といわれますが、このお店を知って「大阪に来てよかった」と思いました。

 ワクワク感があるんですね。お魚や野菜を感心するほど上手に料理としてさばき、盛り付けます。メニューにある魚を「どう料理して盛り付けるのか」を考え、待つ時間が好きです。「今夜はこんな感じのお酒を飲みたい」というちょっとだけ好みから外して「こんなのどう?」とおもしろがります。この「おんな好き」はうまいぞと出してきたのが「くどき上手」だったのには笑いました。料理のおいしさだけでなく、遊びながら味のいろんな世界を楽しませてくれます。

「大阪の寿司には干瓢巻きがない」が話題になった時です。特に好きな巻物ではないのですが、どこにもないとなると時々食べたくなります。店主さんは「干瓢巻きがあるお店に連れて行く」と一緒にタクシーに乗って、ミナミの寿司屋さんに向かいました。そこで桶いっぱいの干瓢巻きを2人で食べ、もちろん飲みまくりました。

飲食店の若いスタッフらと朝まで飲んだ楽しい思い出も

 お初天神でお参りした後、火災をのがれたお店で軽く飲みました。店主さんは「延焼せず助かったけど、火事にあったお店のことを考えると喜べない」と話していました。お初天神の境内すぐ横に肉薄して多くのお店が詰まっている飲食店街です。一度、閉店後に近所のお店のスタッフ10人以上集まって朝まで飲んだことがあります。温かい空気が充満してとても楽しかった。新しいお店は6月には西天満に移って再開するそうです。

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