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ハワイ・コナ 豊穣な土地と海が生み出すコーヒーはパラダイス うまいはず!

 「ハワイ・コナ」のコーヒーがこんなに美味しいとは思いませんでした。

 タンザニアの「キリマンジェロ」、ジャマイカの「ブルーマウンテン」と並ぶ世界の三大コーヒーと呼ばれ、日本でもハワイ旅行のお土産にいただいたり、時々コーヒー豆を焙煎しているお店で買った経験はあります。高価な豆であることもありますが、「これでなきゃ」という思いはありませんでした。

同じコナでも日本とハワイは違う?!

 といっても本場です。それなりの心構えを持って、訪れたハワイ島のコーヒー園で飲んだコーヒーは、日本のコナ・コーヒーではありませんでした。野菜栽培で取り立ての新鮮な農作物は、スーパーや八百屋さんの店頭で買う野菜と味や感触が全く違うことは経験済みです。畑から収穫して、そのまま口にポ〜ンと放り込んでもおいしいものばかり。さすがに苦いだろうと予想したゴボウですら、甘いのに驚いたものです。

 コーヒーは豆を焙煎しますから焙煎技術などで味に違いが生まれるはず。野菜の新鮮さなどを直接感じる味わいとは異なり、豆の品種が同じでも、木が育つ土壌によってそれぞれ独特のキャラクターが生み出され、面白さを発揮するとは予想していました。

コーヒー豆が赤みを増し始めていました

コーヒー豆だけでもうまい

 ところが、予想を遥かに超えます。まず焙煎した豆がうまい。ハワイのお土産の定番、マカダミアナッツのようにポリポリ食べられます。好きな日本酒のサカナとしていけます。日本でも購入したばかりのローストした豆を時々、おやつ代わりにつまむのですが、一粒か二粒で手が止まります。

 今度は農園のスタッフがドリップしたコーヒーを飲みます。豆を食べた時のうまさから想像したイメージ通りにジワっと舌に広がり、喉を通っていきます。「うめえ〜」。思わず方言が出そうになりました。

目の前には美しい青い海が広がる

 訪れた農園は楽園のハワイという名称です。ハワイ島のコナから海岸線を車で30分ぐらい走って見つけました。地元の評判も良く、車で走りながら運良く場所がわかったので立ち寄りました。朝9時前だったせいか、まだ誰もおらず、掃除をしている農園のスタッフを見つけて声をかけたら「開園まで30分待って」と言われたましたが、「見学ツアーを予約してない。農園の雰囲気を知りたいぐらいだから少しだけ歩き回って良いか」とたずねたら、OKしてくれました。

農園だけどプールもあります

 入り口に入って、まず目についたのがプール。コーヒー農園ですが、プール、そしてプールサイドに椅子なども揃っています。やっぱりパラダイスにはプールが必須条件か。事務所の建屋に入ると、開園前なのにコーヒーを煎れてくれていました。農園でローストした製品ごとに味わえるようになっており、ためらわずすべてを少しづつ飲みます。「へえ〜」を繰り返しながら、どれもおいしいので、違いがわからなくなります。

 こんなうまいコーヒーを生育する農園を見たいと思いましたが、ツアー見学までにはまだまだ時間があるので、迷惑がかからない程度で農園を歩き回りました。熟し始めたコーヒーの実がきれいで、おいしそう。

コーヒー農園にはプールも

 こんなコーヒーの木があるのかと思ったら、まるっきり違いました。冒頭の写真です。農園では英語でRainbow Heliconiaと呼んでいます。日本語ではヘルコニア、ハワイで人気の観賞用の植物で、ハワイが世界でも有数の産地。見た目がロブスターの爪に見え、色も鮮やかなのが人気だそうです。確かにロブスターの爪に見えます。おいしそう。かじってみたいですが、怒られるのは必至なので諦めます。

小学生の頃、米空母で初めてコーヒーに出会う

 コーヒーは中学生の頃、化学実験が好きな兄の影響でサイフォンで淹れるのが面白くて、よく飲みました。高校生になってからは入り浸っていた喫茶店のマスターにネルドリップ方式を教えてもらい、その後上京してからは紙フィルターを使ったメリタの逆三角のカップを使い、以来ほぼ毎日飲んでいます。

 現役で働いている時は、深煎りのフレンチローストばかり。アメリカンのようにちょっと薄めにして飲むと、コーヒーの甘みが出てきます。ワタルというコーヒー商社の社長さんにお会いした時に「好みはフレンチロースト」と伝えたら、「あんた、頭を使った商売しているからだよ」と言われ、「俺、頭を使っているんだ」と褒められた気分になったものです。

 コーヒーを飲み始めて50年以上が過ぎました。初めて本格的なコーヒーと出会ったのは小学生の頃、函館に寄港した米海軍の空母。艦内の将校クラブで信じられないほど柔らかく赤身だけのステーキをごちそうになった後、コーヒーが出されたのですが、その場にいた将校から16歳以下はコーヒーは飲めないと言われたました。「コーヒーって、特別な飲み物なんだ」。あのシーンを忘れられません。

コナのコーヒーに出会ったのは60年ぶり?

 その空母は米海軍の太平洋艦隊に所属していたはずです。太平洋艦隊の本拠地はハワイです。「小学生は飲めないよ」と言われたコーヒーはきっとコナ産コーヒー。60年の歳月を経て出会ったコナのコーヒー豆。うまいはずです。

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