道路両脇には雪の壁が高く

北海道・ふるさとを創る5 電気自動車と人工知能を地方創生に カーボンゼロより優先

北海道北東部のバスは本州の路線バスと覚悟が違う?

 路線バスを乗り継いでいると、東京など大都市の路線バスに慣れている自分と北海道の路線バスとの常識が大きく違うことを思い知りました。北海道のように公共交通機関が減少している地域では若い世代には教育、高齢者には病院とそれぞれ人生を運ぶ公共交通機関であることを突きつけられます。

 しかし、利用者はさほど多いと思われません。朝夕の時間帯は高校生らが利用するといっても満員になるわけではありません。通学時間帯を除けば、バス車内は私のほかは多くて3人ぐらい。浜頓別から音威子府までお1時間半は最初から最後まで乗客は私1人。料金は1880円。バス会社は燃料代にもならないでしょう。国や自治体から助成金が支給されているとはいえ、日本全体でみるとバス会社の7割は赤字だそうです。

オホーツクの道の駅にはロコソラーレンの皆さんがいました。

オホーツクの道の駅にはロコソラーレンの皆さんが・・

 しかも、バス運転手の手配も厳しいようです。浜頓別のバスターミナルで次のバスを待っていたら、壁に運転手募集の張り紙を見つけました。旭川市のバス会社の募集です。未経験者でも可能で、バス運転の資格取得までめんどうをみるとありました。旭川市は北海道で札幌に次ぐ大都市です。その旭川市ですらバス運転手の採用に苦労しているのです。それを考えたら、オホーツク海に面した街々を結ぶバス会社で運転手などの採用はさらに難しいのではないでしょうか。

 ふと、電気自動車(EV)と人工知能(AI)の二文字が浮かびました。北海道は本州の大都市部と違い、主要道を軸に日常生活の道路が枝分かれしており、迷路のような道路網ではありません。市町村の街区も格子状に分かれていることが多く、カーナビゲーションを利用してもはかなり高い精度を期待できます。

 大雪などの場合は除雪や積雪などの情報を定期的に加えていけば、どの道路が通行可能か不可能かも混乱なく伝えることができるはずです。

 しかも、北海道北東部は風力発電や太陽光発電など自然の力を利用する再生可能エネルギーを豊富に開発することができます。ガソリンや軽油など燃料を運搬する経費や労力を考慮すれば、電気をエネルギーとする電気自動車の活躍は本州以上に見込めます。人工知能をコアに気象衛星とデータをやりとりするカーナビを搭載すれば、無人運転の自動車でもかなり自由に走り回ることができます。

 路線バスの利用が少ない時間帯の乗客は数人程度なら、大きなバスを利用せずに乗用車やワゴンで移動できます。運転手不足の問題も解消できます。腰の悪いおばあちゃん、おじいちゃん、近い将来の私でも大雪の日に安心して自宅から病院に通うことができます。

地方創生がEVとAIを普及し、カーボンニュートラルを後押し

 電気自動車はカーボンニュートラル実現に向けて急速に開発が進み、普及し始めています。日本は既存の自動車産業の影響を考えて電気自動車の掛け声ばかりが高くて普及するスピードがまだまだ遅いのが現状です。しかし、カーボンニュートラルよりも喫緊の課題として少子高齢化社会の到来が訪れ、日本の地方では限界集落が増え続け、マイカーで移動できない買い物難民すら発生しています。

 病院に通えない高齢者がますます増えるのは確実です。日本にとってはカーボンニュートラルの議論にエネルギーを費やすよりも、電気自動車と人工知能をキーワードに日本の地方の未来を救うことが最優先する方が結果としてカーボンニュートラルを加速する結果を招くのではないでしょうか。

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