
MLB 球場観戦(上)楽しさならヤンキース、マリナーズはドジャースに勝てるかも!?
ロサンゼルス・ドジャースを観戦してきました。試合はホーム球場のドジャース・スタジアムで行われたサンフランシスコ・ジャイアンツとのナイト・ゲームで、6対3でドジャースが快勝。大谷翔平選手は5回にホームランを打ち、52号を記録。大好きな選手のベッツ、ロハスもそろってホームランを放ち、大満足でした。
大谷選手のホームラン52号を目撃
観戦は2階1塁側の内野席。1階に比べて選手からちょっと距離がありますが、ヒットやフライを打った時に投手、内野手、外野手9人が瞬時に動く様を一望できるのでつい選んでしまいます。ドジャースはホーム・スタジアムですから、本来なら3塁側を選ぶべきでしょうが、1塁側なら大谷翔平選手の背番号17がはっきり見えますし、彼のダイナミックなスイングをすべて目撃できます。ホームランをレフト方面に放った時は、まさに期待通り。一瞬の出来事ですが、超高速カメラで再現したかのようにスイングのシーンが一コマ一コマ、目に焼き付いています。
昨年はニューヨークでヤンキースのナイト・ゲームを観戦しました。幸運にもジャッジ選手がホームランを放ち、ゲリット・コール投手が素晴らしい投球を演じて快勝。ヤンキースがアメリカンリーグ東地区で優勝する場面を目撃できました。ヤンキースの勝利の歌、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」を球場全体で歌う快感は素晴らしかった。
この3年間、MBLを観戦しています。1年目の2023年はシアトルのマリナーズ、2年目はヤンキース、3年目はドジャース。いずれもポストシーズンに入る直前の9月中下旬だったので、白熱したゲームばかり。日本のプロ野球とは違うプレースタイル、球場の空気を心底、堪能しました。
3年間、MBLを観戦
2025年は、この3年間観戦した3チームが地区優勝争いに進出しています。テレビを通じて球場の雰囲気が伝わってくるせいか、なぜか野球観戦するならどこの球場が楽しいかな?ふと思いました。マリナーズ、ヤンキース、ドジャースのいずれが勝つでしょうか。個人の感想に過ぎませんが、比較してみました。
まずヤンキース。ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグらMBLの歴史でもひときわ輝くスター選手を輩出していますが、スタジアムそのものが歴史を物語っています。現在のヤンキースタジアムは2009年、1923年に開場した旧スタジムのすぐ隣で建設されています。地下鉄駅が目の前にあり、マンハッタンからのアクセスも楽。地下鉄の治安を心配する声もありますが、試合当日は大勢のファンがどっと押し寄せるので、全然心配ありません。地下鉄から地上の空気を吸えば、周辺はもうお祭り気分です。帰りも同じです。

名選手のオマージュが球場内に
スタジアム内には彼らのオマージュが多く展示されており、球場内をぐるりと回ると野球草創期から現代までのレジェンドが待ち構えています。小学校の頃から野球に没頭し、ルー・ゲーリッグ、タイ・カッブの打撃を本で読み、真似していました。とりわけ守備が同じ一塁手のゲーリッグはあこがれのヒーロー。スタジアム内に掲げられたフラッグを見て思わず涙ぐんでしました。
試合はボルチモア・オリオールズ。ヤンキースが勝てば2年ぶりのアメリカンリーズ東地区の優勝が決まります。力強いファンの応援はいつも以上に熱かったはず。アツが凄い!。アーロン・ジャッジらスター選手が揃うヤンキースですから、ただでさえファンのエネルギーは過熱しており、「レッツゴー、ヤンキース」の合唱というか、雄叫びが球場のあちこちから飛び交います。球場内のカメラが観戦する家族やグループを次々と大型バックスクリーンに映し出され、画面に登場するたびに観客席の体感温度は熱くなります。ファンはグラウンドで闘う9人に続く10人目のプレーヤーと呼ぶますが、納得です。
ヤンキースタジアムのバケツは忘れられない
スタジアム観戦のもう一つの楽しみは球場内で購入するビールとおつまみ。応援するチームを見ながらビールを飲めば、もう最高。ヤンキースタジアムはバケツ一杯のフライドチキンとポテトがお勧め。価格は確か25ドル。チキンは20本以上あったと思いますし、バケツの底にはポテトが埋め尽くされています。上げ底なしです。ニューヨークはびっくりするぐらい物価が高いですが、食べても食べても無くなりません。絶対に日本よりも割安です。
ヤンキースタジアムはきっと最高の空間を提供しているのでしょう。スター選手の活躍、美味しいビールにチキン&ポテト、なによりも球場をいっぱいにするファン同士の熱い一体感。ヤンキースの選手は球場内に充満するエネルギーを吸い込み、ホームラン、ヒットの好打、体を投げ出して捕球する勇気を得ているのでしょう。
米国西海岸のシアトル・マリナーズの「Tモバイル・パーク」はドーム式の素晴らしい球場でした。ヤンキースタジアム同様、球場の目の前に電車の駅があります。市内からそんなに時間かかりませんし、試合終了後も数万人の観客をどんどん運んでくれます。
球場に入るゲートに向かうと、米国の野球殿堂入りしたイチロー選手へのオマージュがあちこちで見かけます。来年は打席に立ってバットを構える独特のポーズをした銅像が設置されます。

左翼側のゲート上にイチローが
試合相手はテキサス・レンジャーズ。2023年のポストシーズンをかけてマリナーズと文字通り、しのぎを削る闘いが続いていました。この年は最終的にレンジャーズが進出、ワールドチャンピオンとなりました。
マリナーズのファンは家族との時間を楽しむ
当日の試合はマリナーズが快勝。早い回からホームランなどで点数を重ね、大好きな選手のひとり、クロフォードが満塁ホームラン「グランドスラム」を放ちました。米国の球場は太鼓などの鳴物の響きがないので、ボールの打撃音がよく聞こえます。満塁を迎え、打席に立った左バッターのクロフォードが「コツン」という軽い打撃音を響かせたと思ったら、ライナー系の弾道を描いて目の前を通り右翼席に飛び込みました。
マリナーズの試合もワイドルカード進出をかけた重要な戦いでしたが、一方的な試合展開だったこともあったのか、空気はなんとなく和やか。ファンの多くは家族や友人らで楽しむ雰囲気が漂っていました。勝敗、プレーの結果にうるさいと言われるヤンキースファンと違うようです。「みんなで応援し、楽しもう」。野球観戦は家族との楽しい思い出作りなんだと痛感しました。
野球観戦のお供であるビールと食事はシアトルが最高でした。真ん中をくり抜いた大きな丸いパンにいっぱい詰め込められたクラムチャウダーはシアトルの有名な市場のクラムチャウダーをはるかに超えるうまさでした。定番のビールとフィッシュ&チップスも買い、観客席に戻ってバクバク食べてグビッ〜と飲み続けます。今思い出しても、ほんとうまかった。
どこの球場でも同じですが、7回裏を迎えると、「私を野球に連れてって」を合唱します。いつもテレビで見ている風景なので、一度は体験してみたかった場面です。歌詞はよくは覚えていませんでしたが、「take me out to the ball park」のフレーズだけは一緒に歌い、「これぞ、MLB」と感動しまくりました。
野球観戦しながら、こんなに球場内が一体化した瞬間を体感したのは初めてでした。久しぶりに「野球って素晴らしい」と感動しました。=ドジャース・スタジアムは次の原稿へ続く