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新浪剛史とドンキ 強さの根源は脇の甘さといい加減さ、裏目に出れば信用喪失、命取りに

  「佐治さんがOKを出せば、いつでも彼の首をとれるネタはあるよ」。大手出版社の編集幹部が苦笑しながら、将来の特ダネ候補を明かした思い出が蘇りました。

 新浪剛史氏がサントリー社長に就任した2014年10月の直後です。佐治さんとは、創業家で絶大な権力を握る佐治信忠氏。「いつでもクビにできるネタがある」と豪語する彼は、今も飛ぶ鳥を落とす勢いの週刊文春と競う週刊誌編集長を経験、裁判沙汰の書類束はこんなにあると自慢するタイプ。どこまで信用できるかはともかく、新浪剛史氏の言動に関するヤバいネタは飛び交っていました。

「いつでも首をとれる」と嘯く出版幹部

 新浪剛史氏は華々しい経歴を積み上げています。慶大在学中、スタンフォード大学に留学。三菱商事入社後はハーバード大でMBAを取得。もう、この時点で「新浪剛史の未来」が目に浮かびます。三菱商事が経営していたコンビニ「ローソン」を任され、社長就任後は業界トップの「セブンイレブン」が真似できない斬新なマーケティングを展開。伊藤忠商事が経営する「ファミリーマート」を一気に引き離し、トップの「セブンイレブン」に迫ります。

 飛ぶ鳥を落とす勢いを体現していました。本人がプロの経営者を自任するのも当然です。彼の経営手腕は、業界常識に捉われない大胆な決断にあります。失敗を恐れません。リスクがあっても、強引に実行、成果を上げます。週刊誌ネタになりそうな言動も加わって「脇が甘い」「いい加減」と批判するが広まっても、ブレないところが凄い。テスラ創業者のイーロン・マスクと重なるディスラプター(破壊者)でした。

 その剛腕を見染めたのがサントリー創業家の佐治信忠氏。次の社長候補は同じ創業家出身の鳥井信宏氏でしたが、キリンとの合併を模索した佐治信忠氏の目から見れば、鳥井信宏氏は物足りなく、社長の器としてまだまだ。たとえ創業家という盾があっても守りきれないと判断したのでしょう。経営者として育てる時間が必要でしたが、サントリーを取り巻く経営環境にそんな余裕はありませんでした。

 ウイスキー、ビールなどアルコール市場は若者のアルコール離れもあって国内での成長は期待できません。海外へ打って出なければサントリーですら先行きは見えない。国内外に幅広い人脈を持ち、交渉力を兼ね備えたプロの経営者「新浪剛史」に託すしかなったのです。

 それから10年後、2025年3月、鳥井信宏氏はようやく社長に就任、新浪剛史社長は会長へ。創業家の大政奉還です。まさかお役御免だからというわけではないでしょうが、「首」を取るヤバいネタが息を吹き返しました。

社長交代後に飛び交う憶測

 社長交代から6ヶ月後の9月1日、新浪氏は違法な成分を含むサプリメントの購入を巡る疑惑を理由にサントリー会長を辞任。経済同友会代表幹事も不本意ならが辞任に追い込まれます。

 経営者としての品格を問われるヤバいネタの噴出は止まりません。ハワイの「乱痴気騒ぎ」、ニューヨークでの10億円もする高級不動産購入・・・。サントリー社長が時にハメをはずしても良いと思いますし、高級不動産の購入もサントリーとして決済したら問題ないと思いますが、企業倫理の視点から考えれば弁解できないでしょう。

 ただ、「プロの経営者」として資質まで疑うのは行き過ぎであり、勿体無い。常識破りを厭わない判断力と実行力は企業の成長戦略に欠かせないからです。

ドンキで値札と支払い額が異なる

 ドン・キホーテを見てください。圧縮陳列や価格破壊など小売業界の常識を超えるマーケティングはドン・キホーテを一人勝ちに導いてます。国内はインバウンドの外国人観光客が押し寄せ、東南アジアでも大人気。直近の決算では過去最高益を上げています。

 ところが、販売現場といえば杜撰な管理が目立ちます。値札には大幅に安い価格を打ちながら、実際のレジでは割高な価格で決済してしまう事例が続いています。ていねいにレジの記録をチェックすれば発見できますが、大量に購入していれば気づくのは無理でしょう。たとえ発見しても、商品担当者の不手際で処理してしまいます。

 急拡大に伴う従業員不足、煩雑な商品の陳列など不手際が発生する理由は多くあるのでしょうが、それはドン・キホーテの問題。それを消費者が負担することはありません。割安と思って購入した消費者が実際には割高に支払う事例が頻発していたら「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」に泥を塗る行為です。「ドンキらしい、いい加減だなあ」と笑って済む話ではありません。

 ドンキも「新浪剛史」の教訓を噛み締めて欲しい。「行け行け、ドンドン」と突っ走る蛮勇はとても頼ものしいですが、裏目に出れば一気に信用を失います。命取りです。

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