
フォード大歓迎「マスタング」「ブロンコ」アメ車で無個性な日本車をインスパイア!
「日本市場を米国産車に開放しろ」。相互関税など理屈より腕力で次々とパンチを繰り出すトランプ大統領の政策展開に心底、呆れていましたが、唯一「こりゃ良い」と受けめた暴論でした。
トランプ大統領の暴論に唯一、賛成
GM、フォードをホント、日本で見かけなくなりました。たまに眼がロックオンしてしまうのはGM「ハマー」やフォード「エクスプローラー」など大型SUV。米国産車、いわゆるアメ車は「でかい」といったステレオタイプに目が眩んでしまい、米国車の魅力を見逃していました。
小学生の頃、あこがれたのはフォード「ムスタング」。当時は「MUSTANG」を「ムスタング」と呼んでいました。1959年に発売され、小型スポーツカーで米国の自動車史に残るベストセラーを記録した名車です。写真でしかお目にかかったことがありませんが、とにかくカッコいいの一言。
見た目のボディーは今風に例えれば、細マッチョ。1950年代の米国映画に登場する派手なフィンを纏い、縦長で横幅もでかい米国車とはまるっきり違います。なんといっても、魅せられたのはエンブレム。マスタングと呼ばれた野生の馬が放つ躍動感を体現し、フロントグリルのど真ん中に配置されています。いかにも機敏に、しかも素晴らしい加速感を楽しめるオーラに包まれていました。
初代ムスタングに魅了
でも、マスタングはモデルチェンジを重ねるごとに筋肉質なマッチョに育ちます。1969年に登場したマスタング「マッハ1」を東京モーターショーで見た時はちょっとショックでした。細身のマッチョが太めのオッサンになった印象を受け、音速を超える「マッハ1」の名称が似つかわしくありませんでした。
20歳代の頃、初代モデルと思わぬ再会をしました。学生の時から通っていた東京・渋谷のバーボン・バーのオーナーが乗っていたのです。彼は戦後間もない渋谷の闇市時代に財をなした父親に育てられ、渋谷などにお店をいくつも保有していました。兄弟が米国やブラジルで牧場を経営していたこともあって、趣味は乗馬。もちろん、カウボーイスタイルが普段着。カウボーイハットを被り初代マスタングで走り去る姿には魅せられました。
「あ〜、昔のマスタングは良かった」を懐かしむとともに、米国車の巨大化に違和感だけが肥大してしまったことを覚えています。車体がでかい、燃費が悪い・・・。米国車が日本でヒットしない理由が今も指摘されていますが、過去の亡霊に幻惑されてきたのだと思います。2024年のアメ車販売は1万6000台だそうです。いくらなんでも過小評価でしょう。
米国を毎年訪れていますが、目の前を走るGMやフォードは個性豊かな存在感を放っています。広い国土を走り回るクルマですからどうしてもガタイはデカ目になりますが、自らの存在感を誇示するために「ドヤ顔」したデザインが多いからだと思います。

どれも同じ顔をして「燃費は良いぞ」と胸を張る日本車より、とても魅惑的です。フォードのSUV「ブロンコ」をみてください。日本のSUVにない肉感に惚れませんか。「いっすねえ〜」と思わず声が出ます。ステランティスのジープが日本でヒットしているのですから、「ブロンコ」も本気を出せば疾走できます。
同じ顔の日本車は自ら魅力低減
日本の新車販売が1990年代をピークに減少しているのは、経済成長や年収の停滞、若者の車離れなどの理由が語られますが、冷静にみれば日本車の魅力が減少しているのが最大の原因ではないでしょうか。頑張ってクルマを購入しても、女の子にモテるわけでもないし、誰も振り返ってくれない。トヨタ自動車のモデルはクラウンも含めてプリウスの派生車に見え、ホンダは軽「N-BOX」以外に突出した車が見当たらない。マツダは独自の日本デザインを誇示しますが、どれも同じ匂いと色合いに染まっている。「みんな同じ」が日本社会の個性とはいえ、車の面白さを奪ってしまったら元も子もありません。
GMやフォードが再び日本で走り回れば、街の風景も変わり、クルマの面白さ、魅力が再認識されるのではないでしょうか。みんなが振り返る車に乗って、ちょっと有頂天になる。GM「シボレー・カマロ」に乗って運転する楽しさを思い出してほしいです。
◆ 写真はフォード栃木と米フォードのHPからそれぞれ引用しました。

