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余市がジュヴレ・シャンベルタンと連携 ワインでも世界へ 地球温暖化が後押し

 北海道余市町がフランスのジュヴレ・シャンベルタン村と「ワイン」で連携します。余市町は日本でもワインの名産地として有名ですが、ジュヴレ・シャンベルタン村は仏ワインの名産地ブルゴーニュ地方にあり、「ジュヴレ・シャンベルタン」は素晴らしいワインを味わえる代名詞にもなっています。余市町はぶどう栽培やワインの醸造などの技術交流を進めてさらに高品質なワイン生産に取り組むほか、日本や世界の販売戦略でも助け合います。余市は世界的なウイスキーの名産地として高いブランドを確立していますが、いよいよワインでも世界の舞台に躍り出ます。

余市には19のワイナリー

 余市町は元々、ニッカウイスキーの発祥の地として知られていますが、北海道西部の日本海側に面しており、肥沃な土壌、日本海から吹き寄せる冷たい風で夏でも冷涼な気候がワイン醸造の適地として評価され、現在は19のワイナリーがあります。栽培するブドウの品種はこれまでツバイゲルト、ケルナーなどが寒冷地に強い品種が主でした。ブルゴーニュ地方が栽培するピノ・ノワールに取り組みましたが、気候が合わず難しかったのですが、最近は地球温暖化の影響で北海道中央部でピノ・ノワールやシャルドネの栽培が広がり、海外から辣腕の醸造家が移住し、ワイナリーを設立する動きが広がっています。

 ジュヴレ・シャンベルタン村は余市町はじめ周辺の優れたワイン醸造家に注目したと思いますが、やはりピノ・ノワールの栽培、醸造の確保も念頭にあったのではないかと推察します。地球温暖化の影響でフランスではワイン用ブドウの収穫時期が早まっているそうです。ブルゴーニュと並ぶボルドーは19世紀末と比べて1.5度も上がっており、フランスより南に位置するスペインやイタリアのワイン産地では、栽培・醸造の危機感が増しています。ジュヴレ・シャンベルタン村が近い将来予想される栽培の危機的状況に備え、北海道の調達拠点として余市町と手を組むのは不思議ではありません。

ジュヴレ・シャンベルタンはブルゴーニュの至高

 なにしろピノ・ノワールは世界でも大人気のワインです。フランスにとっても重要な輸出製品ですから、ジュヴレ・シャンベルタン村が自身のブランド、高品質を守るために先手を打つのは当然です。すでに実績があります。高品質のワインで有名な栃木県のココ・ファーム・ワイナリー(足利市)は北海道余市町の契約農家・木村農園が育てたピノ・ノワールを使っており、そのブドウで米国の醸造家ブルース・ガットラヴさんが北海道岩見沢市で素晴らしいワインに仕上げ、高級ワインとしての評価を得ています。

 なによりも、余市町がジュブレ・シャンベルタンと手を組むなんて「おしゃれ」じゃないですか。今はもう高くなって手が届きませんが、20年以上も前は時々飲む機会がありました。当時、広島市に住んでいたのですが、パン店で全国展開するアンデルセンの広島本店で生ハムとワインを買って豪華な夕食を楽しむのが月一度の贅沢でした。本店のワインのソムリエが素晴らしく、美味しい惣菜に合うワインを割安な価格で販売していました。ジュブレ・シャンベルタンはなんと5000円程度。5000円のワインはとっても高いですが、毎回「5000円払っても、飲む価値がある」と至福のワインと確信したものです。

北海道の食文化も刺激

 余市町は2011年に国から「ワイン特区」の認定を受けるなど地域創生に努力しています。海外のニセコ人気もあって国内外の観光客は着実に増えています。世界的なブランドである「ジュブレ・シャンベルタン」のマーケティングの経験を土台み「余市」に新たに価値を吹き込むと確信しています。それが北海道の食文化に刺激を与え、北海道の実力の底上げにつながるはずです。

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