ハワイ・コナ ポリネシアを感じ、日本の明治が蘇り、現代のスイートメモリーに出会う
ハワイ島のコナ空港は開放感があふれていました。オアフ島のホノルル空港で厳しい保安検査を受け、米国の国内線を利用するには手間と時間がかかると改めて痛感しただけに、航空機のタラップを降りて空港建屋を見た時はちょっと驚きでした。
空港の開放感に「南の島」を実感
一見、平屋に見える低層な建屋は入った途端、車の駐車場が見えるほど視界が広い。開けっ広げの空間という感覚ですか。航空機に預けた荷物を引き取らなければ、そのままスーッと外に出て、レンタカーに乗って出発できると勘違いするほど。
「ここはラバウルか」。20年以上前に訪れたパプア・ニューギニアのラバウル空港を思い出しました。もちろんラバウル(ごめんなさい!)よりはかなり立派な建物ですが、「南の島はこれじゃなきゃ」となぜか嬉しくなります。
南太平洋の島国を飛び回っていた時期がありました。パプア・ニューギニア、ナウル 、西サモア、サロモン諸島、仏領タヒチ、ニューカレドニア、フィジーなどなど。ニュージラーンドも加えた方が良いかもしれません。多くの日本人にとって魅力的な観光地と映る島もありますが、欧米や日本、中国などの経済援助を受けながら暮らしている島が大半です。
空港ビルは外国人を迎える正面玄関。日本の羽田空港や成田空港、関西空港を思い浮かべてください。ところが、南の島の場合、空港は遠方の島とを結ぶバスの停留所のようなものです。建屋にお金をかける余裕もありませんし、必要もありません。必要最低限の施設を揃え、訪れる人、出迎えする人が利用しやすい空港であればもう十分です。
コナにはギュッといろんな物が
東京とさほど変わらない空気が漂うホノルルから、ようやく南の島に来たぞ!ハワイ島のコナは期待以上でした。
コナはハワイ王朝の由緒ある街ですから、あちこちに「ポリネシア」を感じます。観光地ですから「らしさ」に好き嫌いがありますが、個人的には「懐かしい」を強く感じます。ホテルが集まる小さな湾にアウトリガーを備えたカヌーが並んでいました。
かつてポリネシアの人々が星座で正確な位置を確認しながら、アウトリガーを備えたカヌーで何千キロの向かうにある島へ航海しました。アウトリガーは横波など荒れた海でも転覆しないよう設計されています。カヌーの漕ぎ手は声を合わせて歌い、握ったロールを揃え、大きな推進力を生み出します。歌の声調は日本の民謡に近く、聞いているだけで胸がジーンするものです。
コナで見かけたアウトリガー付きカヌーは観光客向け。ガイド役で漕ぎ手でもある若者がそばに立っていたのですが、目と目が合ったら、筋肉で盛り上がった胸をさらにグッと膨らましました。「クスッ」と笑って私もジムで鍛えた胸筋をグッと見せつけます。彼も笑い返します。「わかるだろう、男はこうじゃなきゃ」
ポリネシアの人々は男性も女性も筋肉、体格がたくましく、その造形から世界で一番美しい民族だと私は考えています。鍛えた筋肉を誇示してポリネシアンをアピールする遊び心に再び「南の島に来たあ〜」と実感します。
水洗トイレの故障から日系移民の話題に
その夜、宿泊するホテルの水洗トイレが壊れました。夜が更けていましたが、フロントに向かいスタッフに「水洗トイレが流れず、困っている」と下手な英語でいつ修理できるかを尋ねました。彼は「今から道具を揃えて今から部屋に行くよ」と言います。なんとか水洗できるように作業している最中でした。「あれ、日本人?」ときれいな日本語で聞いてきました。
ハワイは日系移民が多く、ホノルル空港の正式名称は日系移民出身の政治家として大きな功績を残した「ダニエル・イノウエ」を冠しているぐらいです。ホテルのスタッフの顔はアジア系ですが、アジア系ならみんな日系移民出身とは思いません。
彼はお世辞で「英語が上手だね。米国で勉強したの?」と恥ずかしくなるようなことを言うので、「あなたこそ日本語がうまいですね」と答えたら、「先祖は日本から移民しており、私はハーフなのよ」と和製英語のハーフを使って説明してくれました。