65歳から始めたメディアサイト😅⑦今度は原稿が止まらない 噴飯が噴出!

 とにかく原稿を書こうと努めました。鼻から名文をイメージするなんて戯けたことはしません。とにかく主語と述語、「てにをは」の使い方に注意します。浮かんだ言葉をそのまま並べて「てにをは」を添えれば文章ができそうですが、文字を並べるだけとはいえ三島由紀夫のように華麗な文章に仕上げる人もいれば、ギッタンバッタンとあちこち衝突を繰り返しながら進む文章しか書けない人もいます。

文章がギッタンバッタン

 自分は後者だと自認していますから、心理的なプレッシャーは感じていません。しかし、文章がつながらない。点とマルのつけるタイミングが感覚的に浮かばない。この10年間、書いた文章といえば、会社関連の業務に関した文書がほとんど。しかも、現在のような会話体の文章はありません。この空白期間は予想以上でした。

 サイトの文章は会話体で行こうと決めていました。最初、文章スタイルをどうするか多少迷いました。新聞記事のような文章なら書き慣れています。記事全体をコンパクトに仕上げられますし、読者にとっても理解しやすい。

 しかし、自分の考えや思いをダイレクトに伝えるにはどうか。新聞記事は中立・公平を旨としています。わかりやすい半面、書き手の思いや匂いが感じられない場合があります。せっかく自分のサイトを制作するのです。鬱陶しい思われるかもしれませんが、書き手の”熱い思い”を伝えるためには、日常生活の意思疎通で使う会話が最も適しています。

思いを伝えるため会話体に

 しかも、原稿の多くは企業やマクロ経済などが中心になるはずです。ほとんどの場合、読んでいて楽しい気分になる内容にはなりません。「こいつ、何を言いたいんだ」と思う人がほとんどでしょう。わずかでも目線を合わせて原稿を読んでもらうには、こちらから話しかける努力と思いを知ってもらうしかないと考えました。

 頭の中でまだ制作に着手もできていないサイト上の夢想を浮かべながら、最初の原稿と取っ組み合いを始めました。1週間ぐらいウンウン唸っていたら、キーボードを叩く指の感覚が戻ってきました。画面上を見ると、思わずウッと胃袋から戻ってくる怖さを覚えますが、10行、20行の文章が並んで行きます。あれ、ひとつの壁を破ったかなと独り笑いしたら、段落・改行がないのに気づきます。頭の夢想を文章に変換できる取っ掛かりを掴んだものの、脳内ソフトが未熟なせいか、どこで改行して良いのか、そのきっかけが浮かばないのです。

しかし、目の前には「劣化」の壁

「劣化」。この文字が思わず画面に目の前に見えた気がしました。

 ところが一転。噴き出し始めます。10年以上、書き溜めていたテーマと気持ちがまるで蓋を弾け飛ばしたように原稿が吹き始めました。原稿の内容ははちゃめちゃです。でも、これまで書きたいと考えていた話をようやく字にできるようになり始めたら、その思いが噴き始めました。10年間、溜まったナニカが噴き出したようです。

晩年のゴヤの気持ちを一人合点する

 いつかは書いたいと胸に秘めていたテーマが数え切れないほどあります。ネパール、パプア・ニューギニア、オーストラリアの人々の思い出、そして長年取材してきた自動車など産業で繰り広げられた合従連衡の裏舞台。スペインの画家、ゴヤは晩年、宮廷画家のころと全く違った画風の作品を描いていきます。これまでの想いが吐き出されている迫力と熱さを覚え、好き時期です。ゴヤと比較するほど不遜ではありませんが、作品を吐き出す時の気持ちはこんな感じなのかなと一人合点したものです。

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