首都圏の電力地産地消を進めましょう 東京都の太陽光義務化は発想転換への一歩

  いつも散歩で通る一角で戸建て住宅の団地建設が進んでいます。施工は大手住宅メーカー。10戸程度はあると思います。見慣れた風景だなあと眺めていたら、屋根に太陽光発電のパネルが敷き詰められています。太陽光発電を設置する住宅は増えていますが、団地全戸の屋根に備えられているのは初めて見ました。「さすが大手メーカー。しっかりと住宅販売の先行きを読み切っている」と感心しました。

住宅団地の屋根にすべて太陽光発電のパネル

 東京都が新築建物に太陽光発電のパネルを設置することを原則義務付けました。12月15日に東京都が提案した条例改正案を都議会が賛成多数で可決、成立したのです。条例は全国で初めて戸建て住宅を対象に含めています。施工は2025年4月から。これまでも東京都は大気汚染を解決するため、厳しい排ガス規制を実施するなど歴代の知事は環境対策を積極的に取り組んでいます。

 今回の義務化も気候変動対策の一環です。住宅密集地域が多くにもかかわらず、太陽光発電に活用されない屋根が多いため、”広大な空き地”をCO2などの温暖化ガス削減に再利用しようというわけです。都内の新築建物は年間約5万件を数えるそうで、過半の3万件近くは義務化の対象になると東京都はみています。このうち戸建て住宅は2万件ぐらいで、義務化によって上乗せできる太陽光発電量は年間4万キロワットと試算します。

100万円の設置費用は10年で回収

 太陽光発電の義務化は当然、住宅費用の負担増に直結します。費用は100万円程度だそうですが、発電した電力を自家消費したり、売電することで10年間で100万円相当は回収できると東京都は説明します。太陽光など再生可能エネルギーによる発電と売電に関する制度はたびたび変わるので、試算通り回収できるかどうかわかりませんが、今回の太陽光発電の義務化は国民の意識を変える良いきっかけだと受け止めています。

そろそろ発想を転換する時

 最大の理由は、電力の発電と消費に対する発想を変える必要があるからです。東京はじめ首都圏は日本最大の電力消費地域ですが、消費する電力は福島や新潟などに建設された原子力・火力の大規模な電所から送電されてきました。2011年の東日本大震災による福島第一原発事故によって全国の多くの原発は休止に追い込まれ、震災直後の東京などが計画停電で窮状を凌いだことは記憶に新しいはずです。

 今年の夏と冬も厳しい電力需給に直面しています。東京電力などの原発再稼働が進まないため、老朽化した火力発電を修理、再稼働して急場を乗り切っていますが、火力発電所がいつ故障するかわかりません。政府は原発の再稼働と新増設などに再び舵を切っていますが、残念ながら実際に原発が頼れる電源として期待できるかどうかは10年単位で待つ必要があります。

 東京など首都圏は地方の大規模発電所から送電してもらい、電力を消費する構図を続けることは不可能になったのです。電力も自分で使う電気は、自分で発電する発想に切り替える時です。電力の地産地消です。もちろん、100%の切り替えは無理ですし、非現実な妄想に過ぎません。わかっています。

電源を地方に頼ることはやめましょう

 しかし、地方に新しい原発を建設して電力を送ってもらう生活は限界です。それとも地方は過疎化が進み、誰も住んでいない地域が再び増えるから、原発立地に適した地域が現れると考えていますか。地球温暖化への対応は電源問題やゴミの分別だけではありません。当たり前と考え、疑問も抱かなかった自らの生活をどう変えることから始まります。

 電力の地産地消は日本の常識を変える一歩に過ぎません。

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