ぼったくりトランプ関税 日本は3兆円の国富をどう取り戻す

 米連邦最高裁判所が2月20日、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税を違憲と判断しました。2025年4月から始まった追加関税、いわゆるトランプ関税は自国の経済安全保障を謳っていましたが、国際貿易ルールに反するのは明白。世界一の経済大国を背に恫喝するぼったくり関税そのもの。

 すでに支払った関税の返金を求める訴訟準備が進んでいますが、理不尽にも米国に奪われた日本の国富をどう取り戻すのか。それとも口を濁したまま、時間を過ごすのか。日米貿易の健全な発展のためにも、「強い日本」「責任ある積極財政」を繰り返す高市政権の経済安全保障戦略が試されています。

「強い」「責任」「積極」を発揮できるか

 トランプ関税で日本企業が負担した金額は、日本経済新聞によると2・9兆円ぐらいのようです。負担具合いをざっくり試算すると、2026年3月期の東証上場企業の純利益は54兆円だそうですから、5・4%程度を関税支払いに奪われ、過重負担したわけです。トランプ関税の法律根拠はIEEPAだけではありませんが、ぼったくり同然に支払わされた日本の国富3兆円をどう取り戻すのか。日米貿易の健全な発展のためにも、高市政権は努力してほしい。

 なにしろ、トランプ関税は違憲と判断されたとはいえ、還付されるメドはありません。判決文に支払いについて触れていませんし、トランプ大統領は支払う気などさらさらなく、訴訟しても5年は法廷で争うだろうと明言しています。しかも、違憲判決を受けて通商法122条を根拠に新たな関税を開始します。トランプ関税を見直す可能性はゼロ。

 まあ、トランプ大統領の発言を聞いていると、新宿歌舞伎町で運悪くまずくて高い居酒屋に入ってしまい、その請求額を見て酔いが覚めてしまった苦い思い出が蘇ります。

1000社以上が還付請求へ

 当然ですが、違憲判決が下される以前から還付請求の動きが始まっています。コストコ、リーボック、ゼロックス、ハイネケン、グッドイヤーなど1000社以上がトランプ政権が関税として徴収した約1750億ドル(約27兆1000万円)の一部を取り戻そす訴訟を起こしています。自民党の小野寺財政調査会長も、「支払った関税を返してくださいということは当然だ」との考えを示しています。

 果たして高市首相はどう動くのでしょうか。日本政府はトランプ関税の交渉で関税率や自動車関税を引き下げる代わりに5500億ドル(約86兆円)の対米投資を約束しています。日本の負担を軽減する狙いで合意した対米投資でしたが、大前提ともいえるトランプ関税は違憲と認定されてしまい、元も子もない状態に。

6兆円の対米投資が動き出す

 しかも、違憲判決を下される直前、第一弾としてデータセンター向けのガス発電、原油積み出しの深海港、人工ダイヤモンドの生産工場の3事業を進めることが明らかになっています。事業総額は計6兆〜7兆円程度。交渉窓口の赤沢経済産業相は2月24日の閣議後記者会見で「現行の日米関税合意を今後とも誠実かつ迅速に実行していくことが、両国のために重要だと申し合わせた」と語っていますが、3兆円の現金をむしり取られ、さらに86兆円の対米投資のツケが回ってきます。日本が泣き寝入りするかのような外交交渉は、対米べったりの日本の姿勢を内外に示すだけです。「強い日本」が見る影もないと批判されてしまったら、高市首相にとっても失点でしょう。

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