大熊つなげ隊

浪江町に輝きが戻り、地方の課題も照らされる。原発の次は水素なのか

道の駅、ホテル、全国の地方に同じ風景が現出しても

浪江町は「再生可能エネルギーの地産地消」を掲げ、電気自動車、太陽光発電による水素製造など脱炭素社会のモデルを目指した「なみえ水素タウン構想」を立ち上げています。実際、浪江町を歩き回ると、「道の駅なみえ」には水素を使った燃料電池が設置されていますし、向かい側のガソリンスタンドには電気自動車の充電スタンドが建設されていました。近郊には関連の工業団地も建設されています。吉田数博町長は2021年3月、なみえ町の未来を支える事業として期待していると強調していました。地元で話していても、「原発という国主導のプロジェクトで浜通りが繁栄したのだから、復興するには国主導で進めるのは仕方がない」との声を聞きます。確かに全国の道の駅の中でも突出した設備と品揃えを持つ「なみえ」も完成し、すぐ横には素敵なホテルも建設されています。でも、今のままでは全国を歩き回るとよく目にする同じ風景が浪江町にも出来上がったという印象です。

伝承すべきは、地域の創生は地域から生み出すこと

手作りのみらいの町

手作りのみらいの町

福島第一原発が稼働してから50年の歳月が過ぎた今、国主導の大規模プロジェクトの功罪と教訓がわかってきたのではないでしょうか。地域を創生する力は地域から生み出さなければいけないということです。時間はかかります。しかし、国に頼った地方創生は、天からお金が降ってくると勘違いする人を産み続けます。先日、浪江町で出会った人が明快に語っていました。「浪江町出身者として関東から様々な施策に関わっていたが、やはり町に移住してできるだけのことをやってみることにした」。浪江町に住民が戻り、家々が放つ輝きが増えてきました。住民の帰還のみなら新しい移住者の募集にも力を入れています。目標達成にはまだ程遠いようですが、20歳代の若者が町の未来を創ると張り切っている人とも会えました。良かったです。伝承すべきことは、すでに始まっていました。

関連記事一覧