アップルのゴーグル端末を2倍楽しむ方法 まずは手話で「現実と仮想」を楽しむ

 米アップルが新しいゴーグル型端末「Vision Pro」を発表しました。操作はコントローラーを介さず、視線や指、声で操作できます。iPhoneなどのアプリや写真、動画を楽しんだり、行きたい観光地や現場を実際に訪れなくても拡張現実(AR)や複合現実(MR)を通じて3D画面で擬似体験できるそうです。

ゴーグルは中が透けて見えるかのよう

 アップルらしさは、スキーのゴーグルのように目が透けて見えること。すでに発売されている他メーカーのゴーグル端末は、映像ディスプレーを目の前にぶら下げている状態で、一度装着するとゴーグル越しの風景は見えません。アップルのゴーグルは装着状態でも、お互いの表情を確認できるので、家族や友人らと話すなどのコミュニケーションが取れます。誰かが近づいてきた場合、センサーが検知してゴーグルのレンズに装着者本人の表情が映し出される一方、近づいてきた相手の表情も見極めることができるそうです。

 ゴーグル端末の課題は、装着していると周囲の様子がわからなくなることでした。映像などに没入して一人の世界を楽しむなら良いのですが、周囲とは没交渉。「ひとりぼっち」になってしまいます。アップルなら、動画などに夢中になっても家族や友人が近寄ってきたら互いにコミュニケーションを取れるというわけです。アップルは「ひとりぼっち」にはしない。こんなイメージでしょうか。

手話とゴーグル端末、同じ擬似体験?!

 でも、冷静に考えたら、アップルのゴーグル端末のコミュニケーション方法は手話でも同じ体験ができるのです。それも擬似体験じゃなく、現実の体験として。ゴーグルが映し出す風景やエンターテイメントは自身の世界や夢を投影する場合がほとんどですが、手話はお互い自分の感動を伝え合い、それがどんなものだったかを自ら表現することができます。もちろん、スマホのアプリは不要です。

 しかも、手話は立体的な3Dの表現、当然です(笑)。普段は経験しない耳が聞こえない生活とどういうものか。言い換えれば、自分が過ごしてきた日常生活と全く異なる現実の世界があることも教えてくれます。コミュニケーションの難しさと楽しさ、自分が暮らす生活との違い・・・。伝え合う醍醐味はたくさんあります。

コミュニケーションの発想は変わらない

 アップルのゴーグル端末との比較は無茶? いえいえ、根っこは同じ。コミュニケーションの発想は変わりません。手話を学び始めて3年目で、まだまだ未熟なレベルですが、最近は手や腕の所作、顔の表情とともに自分の周りにある「空間」の使い方を教えてもらっています。指文字などを使った基本的な表現のほかに、自分自身や相手の空間を利用して目の前にあたかも今伝えようとしている塊を描き出す発想です。

 例えば、手話は体を軸に時間を表現します。手のひらや指を前に倒すと未来、後ろへ倒すと過去。例えば指一本を胸のそばに立てて前に倒せば昨日、後ろに倒せば明日を意味します。両手を開いて、押さえつける所作をすれば今日となります。慣れると、小さな空間が昨日、今日、明日、先週、来週といった時制で刻まれているのがみえてきます。

手話は立体的に空間を使いこなす

 この発想を延長して、今度は右と左の空間も使い分けます。最初に説明した場所を左に置いて、これから向かう場所を右に置きます。左から右へ移せば、移動を意味します。出張で東京から京都へ向かう時は、手話で東京駅を表現して左に置き、京都駅の表現で右に特定の空間を設定。そして新幹線で移動するという手話を加えれば、通じるはずです。Aという友人、Bという友人、あるいは山の風景と川の流れ。記憶に残る数々のシーンを空間に分けて表すことができます。疑問の余地なく、AR、MRの世界に重なります。

 もちろん、手話とゴーグル端末が伝える情報量は違うし、擬似体験の内容も異なるのは承知です。しかし、擬似体験を2人以上で共有して楽しむなら、写真や動画を撮影したスマホを利用しながら、情景を表現し、その素晴らしさを説明する楽しさは、変わらないように思えます。

 アップルは今回のゴーグル端末にカメラ12基、センサー5個、マイク6基を装着したそうです。手話なら、体一つ。手話は覚えるのがたいへんと思うでしょうが、ゴーグル端末を使いこなすためには指を振ったり、声を出したりといった操作を覚えなくてはいけません。指や腕を動かしたりとまるで手話そのものです。

50万円を投じる前に手話で擬似体験を

 アップルはゴーグル端末を2024年に発売するそうです。価格は3499ドル、日本円で50万円弱。あと1年はたっぷりあります。50万円を投じる前に、手話を勉強することに損はありませんよ。ゴーグル端末の擬似体験を楽しむためにも、手話で事前に予習するのはどうでしょうか。ゴーグル端末を2倍楽しむ方法と思えるのですが・・・。

アップル Vision Pro の説明はこちら

https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/

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