北海道・ふるさとを創る3 浜頓別、長年の努力と経験で築かれた自信と余裕
まさに強風と雪壁を通り抜けて到着したせいか、浜頓別の風景は輝いて見えました。バスターミナルは道の駅と併設され、外光がふんだんに入る館内は広々と、しかも明かりに満ちています。館内に入ると、おいしそうな焼き立てパンがどーんと並んだお店が待ち構えていました。
パンの品揃えは「こんなに多くの種類と量を焼き上げたら、売れ残すんじゃないの?」と余計な心配をするほどです。隣のフロアは飲食フロアとしてテーブルと椅子を配置しており、コロナ禍もあってたくさんの空間を独り占めできます。大きなリュックを背負っていたので、荷物を置く際にとても助かりました。
そしてパンがうまいのです。腹がいっぱいになったら、クッチャロ湖まで歩いてシベリアに春が訪れるまで暮らす白鳥を見に行くつもりでしたから、「今日の天気なら、クッチャロ湖まで歩いて行っても大丈夫ですか」とお店の女性スタッフに聞きました。「今日なら歩いて雪道でも30分ぐらいで行けるはずです」と教えてもらい、それがきっかけで雑談になりました。
私が「浜頓別はユースホステルで有名だったので、40年以上前に来たことがあるんですよ」。そうするとスタッフさんは「知っていますよ、私も友人からユースの評判を聞いて訪れたら気に入ってしまい、関西から移住したんです」と笑います。彼女はきっと私より20歳以上若いはずです。それでも浜頓別のユース人気は残っていたのです。浜頓別の地力を感じた瞬間です。
真冬の時期でもホテルは予約取れず
前日、浜頓別に宿泊しようと考え、ホテルに予約を試みました。クッチャロ湖の白鳥などをしっかり見たかったこともありますが、街が45年前と比べてどう変わっているのかを知りたかったのです。ところが、何軒かホテルに電話すると「満室です」の答えが返ってきます。
なかには「前日に電話して部屋が予約できると思っていたの?」といったニュアンスで断られたこともあります。コロナ禍がちょっとだけひと休みしている時期だったとはいえ、北海道の他地域で観光客を多く見かけることはありませんでしたから正直意外でした。