根室と函館②坂道の向こうに海、「えっ、やきとり弁当も同じ」
NHKのドキュメント72時間「根室”ほっこり弁当”冬物語」に登場したコンビニは「タイエー」。根室市内に4店舗を展開しており、NHKが取材したお店は西浜店。根室駅からちょっと離れており、真冬の雪道を歩くのはちょっと辛いので、ホテルから比較的近い千島本店に向かいました。
「小」がおすすめ
店内にはいると、テレビ番組と同じ風景が目に飛び込んできます。キョロキョロしてお弁当コーナーを見つけ、さてどれにするかとメニューをみると、「特におすすめ!」とあるのが「小」。海苔を敷いた白飯の上に焼き鳥3本が載って500円。ぴったりワンコインと強調しています。
当然、「小をお願いします」。夜は居酒屋回りを予定しているので、胃袋に余裕を残しておくことも考えました。店員さんは「タレにしますか、塩にしますか」と訊ねるので、「塩とタレを混ぜることはできるのですか」とたずねると首を横に振ります。それじゃ「塩でお願いします」。タレが付いた焼き鳥は単品でも販売しているので、後で買うつもりです。
やきとりといっても、豚肉
ちなみに焼き鳥といっても、豚肉とネギを串刺ししているものです。だから、商品名は「やきとり」とひらがな表記しているのでしょう。北海道で珍しいことではありません。有名な室蘭焼き鳥も豚肉を使っています。もちろん、鶏肉を素材にした焼き鳥もたくさんあります。漁港などで働く漁師や工員にとって、仕事の後の一杯の時、脂もこってりして食べ応えのある豚肉が食べたいと思うのがわかります。
さて、注文を受けた店員さんはおもむろに焼き鳥3本をとり、長い電熱棒の上にかざし、焼きに入ります。お腹が空いているせいもあって、見ているだけで空腹感が増し、焼き上がる時間がやけに長く感じます。
焼き上げる過程で塩をパラパラ、ご飯に載せてからもパラパラとかけていました。ホテルに部屋に戻って食べてわかりましたが、この塩がキモなんでしょうね。豚肉から滲み出る油と塩がなんともいえない味わいを生みました。「ウメェッ」。声が出ます。
函館からのれん分け、驚きです
タイエーの「やきとり弁当」は見た目、函館の「ハセガワストア」と同じ。「あれっ」と思い、会社のホームページをみると、函館のコンビニ「ハセガワストア」からのれん分けしたとあります。全然知りませんでした。驚きました。
ハセガワストアは函館の「やきとり弁当」の元祖。ソウルフードです。でも、発売は1978年ですから、私が小さい頃に食べたことがありません。大人になって観光客として食べました。
函館と根室で異なるのはタレ。隠し味に使うワインの産地が違うので、タレの味も変わるそうです。それにしても塩がうまい。スパイスなどの工夫で他のコンビニが真似できず、しかもまた食べたいという習慣性が生まれる塩を考案したのでしょうね。
北海道のコンビニはセイコーマートの「ホットシェフ」に代表されるように総菜の品揃えで他の地域を圧倒します。タイエーも「やきとり弁当」のほかにもいろいろな弁当や食材を開発しています。その一つが「さんま節らーめん」。根室はさんまの水揚げ量で全国一。その根室さんま祭りから誕生しました。これ、うまいですよ。
さんま節ラーメンもうまい!
函館は、代名詞でもあるイカの不漁が続く一方、ブリの思いがけない大漁に沸いています。ブリをイカに代わる名産品に仕上げる動きも出ています。「さんま節らーめん」を考案した根室の知恵が今度は、函館で活きるチャンスかもしれません。
それにしても、やきとり弁当で函館と根室が繋がるとは・・・。これも何かのご縁です。