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米国を代表するクラフトビール「アンカー」清算 この人気商品でも成功できないサッポロの北米戦略

 クラフトビール「アンカースチーム」。米サフランシスコへ旅行した人なら、知っているはずです。とてもうまい。サンフランシスコへ出張などで訪れた時は、毎晩どころかビールを飲む機会を見つけては「アンカー」を注文していました。好きなビールはサッポロビールの「エビス」ですが、「アンカー」の方がもっと気に入っています。どこが経営しているのかと思い、調べたらサッポロビールが2017年に買収していました。アサヒビールなどに比べ営業力が弱いサッポロだけど、旨いビールを選び出す目利きはさすが。感心していたらぬか喜びに。なんと、手放すそうです。

とにかく旨いビール

 サッポロビールホールディングスは7月12日、米クラフトビールのアンカー・ブリューイング・カンパニーを解散すると発表しました。2017年に北米のビール事業拡大の拠点として買収しましたが、新型コロナウイルス禍などで経営赤字から脱却できないため、本社があるカリフォルニア州の法律に沿って1年かけて清算するそうです。今後、資産価値を再評価して、ブランドや土地などの引受先を探すそうです。

 アンカーは1854年、ドイツ人の醸造家がオープン発酵槽でラガーを発酵させる技術開発に成功。1896年に会社として創業したそうです。米国ではクラフトビールを代表する老舗です。サンフランシスコで高い人気があるので、碇を意味する「anchor(アンカー)」というブランド名になったのかなと思いましたが、そんな由来はどこにも見当たりません。

 サンフランシスコのレストランやバーに入れば、かならずあるビールです。なんともいえないビールのコクと風味がうまく、何杯もいけます。当然、ビール会社は儲かっているはずと思っていたら、勘違いでした。日本経済新聞によると、サッポロビールは119億円で買収しましたが、2022年12月期の売上高は1000万ドルで、最終赤字も同額の1000万ドル。企業経営を大きく逸脱しています。

売上高と最終赤字が同額のまずい経営

 サッポロビールは北米市場で将来、酒類で1000億円の売り上げを目指しています。22年実績に比べると5割増だそうです。昨年2022年8月には米クラフトビールメーカーのストーン・ブリューイングを約226億円で買収しています。サッポロブランドの「プレミアム」の製造にも利用し、サッポロブランドを広げる拠点になるのでしょう。

 果たして北米戦略は思惑通り、進むのでしょうか。アンカーを清算する経営の詳細はわかりません。売上高と同額の最終赤字を吐き出す経営の実情がどうであれ、あれだけサンフランシスコで高い人気を集めるクラフトビールを成功できない事業運営にいくつもの疑問が浮かびます。アンカーを直接経営するスタッフの力量、そのアンカーを子会社として監督するサッポロビール、さらに人気ビールを抱えながら、利益を捻り出せないマーケティングなど。

北米戦略は目論み通り進むのか

 アンカー清算で23年12月期で60億円の減損を計上するそうですが、サッポロの2023年12月期の純利益見通しは前期比0・9%増の55億円。ビール各社の中で稼ぐ力が弱いサッポロにとってかなり大きな負担です。北米戦略で意欲的な事業計画を打ち出しても、アンカーを再建できない事業手腕では絵に描いた餅といわれても仕方がありません。「シュッポ」と小気味良い音を上げて、おいしいビールを飲むにはまだまだ試練の時期が続きそうです。

◆写真はホームページから引用しました。

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