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キヤノン社長に小川氏、御手洗会長はCEO譲らず、ニデックの教訓を学んだか

  キヤノンが1月29日、小川一登取締役副社長が社長最高執行責任者(COO)に昇格すると発表しました。創業家出身で最高実力者の御手洗冨士夫氏は会長兼社長最高経営責任者(CEO)の3つの肩書きから社長職1つを譲っただけ。次世代の後継者を明確にして経営体制の移行を円滑にするとしていますが、90歳の御手洗氏が会長兼CEOとして67歳の小川新社長を育て上げるとはなんとも不思議な構図です。

御手洗は30年間、最高実力者

 キヤノンは同族出身者で固める中小企業じゃありません。売上高の8割も海外が占めるグローバル企業です。御手洗氏は経団連会長も務めています。でも、後継者選びに関しては不得意のようです。

 なにしろ、御手洗氏は1995~2006年と12~16年、20年から26年まで3回も社長交代を経験しています。後継者の選定は行ったり来たり。社長交代は6年ぶりといいますが、御手洗氏は1995年からもう30年も経営の実権を握り続けています。一世代は30年といいますが、世代交代するのかとおもったら白羽の矢を当てたのは67歳の小川氏。「Make it possible with Canon」と言いながら後継者育成は予想以上に難解みたいです。

 小川氏の実力に異論はありません。海外経験が豊富で米州の販売統括会社トップとして構造改革や新規事業の育成を進め、業績拡大に貢献しています。御手洗氏は「小川氏の優れたリーダーシップと国際経験はキヤノンが次なる世代へ歩みを進めるのに欠くことのできる」と説明しますが、23年間に及んだ自身の長い米国駐在と重なる親近感を覚えたのでしょうか。

後継社長の育成にまだ時間が必要?

 御手洗氏の経営は海外からも厳しい視線を浴びています。2023年3月の株主総会では取締役再任が過半数ぎりぎりで支持されたこともあります。2000年以降から続いた厳しい業績は持ち直したとはいえ、次代に向けたキヤノンを提示できないでいます。

 同じ風景をどこかで目撃しました。そう、ニデックです。創業者の永守重信氏は1973年の創業以来、「高成長、高収益、高株価」の3Kの達成を常に求め、企業買収を重ねながら2兆円を超える世界企業に躍り出ました。

 しかし、後継者選びには苦杯を嘗め続けます。社内には絶対的な忠誠心を求め、それを原動力に成長し続けてきたにもかかわらず、2010年代に入って開始した自身に代わる後継社長選びは社外から優秀な人材に注目し、スカウトし続けます。

ニデックの永守氏は社長のクビを繰り返した

 2014年、シャープの元社長の片山幹雄氏を口説き、副会長に据えます。2018年には日産自動車出身の吉本浩之氏を社長に指名しました。2年後にはクビ。後任の社長として同じ日産出身の関潤氏をスカウトします。でも、やはり関氏も2年後にクビ。

 その後、生え抜きで子飼いの小部博志氏を社長に据えましたが、なんと2年間限定。2024年からソニー出身の岸田光哉氏が引き継ぎましたが、2025年に発覚した不適切会計による信用失墜によって永守氏は12月末に取締役を退任、今や岸田社長は不適切会計によって株式の上場廃止も想定される経営危機に追われています。

「キヤノンがニデックの二の舞を演じるとは思っていない」と言い切れる人はどのくらいいるのでしょうか。きっと、御手洗氏は永守氏が身をもって示した教訓を学んでいると信じています。

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