日本発コンビニの進化系とは セコマは「北海道」を売り、セブンは海外に拡大
日本のコンビニエンスストアは今後、どう進化していくのでしょうか。「セイコーマート」を展開するセコマ(札幌市)が「北海道」をキーワードに商圏を全国に広げた事業モデルの創出に挑んでいます。一方、セブンイレブンはコンビニ飽和状態の国内を見限り、米国や中国など海外に成長力を求めています。コンビニは元々、米国が発祥の地。しかし、きめ細やかなサービスを求める日本で独自の進化を遂げ、世界の小売りモデルに変容しました。多様な進化系が誕生し、衰退する日本のサービス産業に新たな活力を吹き込む先駆になって欲しいですね。
日本独自の小売りモデルに進化
セコマは全日本空輸と組み、2024年1月末から航空便で北海道産牛乳などを沖縄県へ輸送し、スーパーで定期販売し始めました。これまでも乳製品や酒類、カップ麺など自社プライベートブランド商品を北海道外のスーパーやドラッグストアで販売しており、拡大を加速します。
国内の大手ブランドに対する競争力は十分です。乳製品は北海道北部の豊富町で製造する牛乳やヨーグルト。そのおいしさは「よつ葉乳業」など優れた乳製品が溢れている北海道でもセイコーマートの主力製品として育っています。その豊富町産の製品を車で1時間の稚内空港から全日空の航空便で羽田空港を経由して那覇空港へ運びます。
セイコーマートは北海道の乳製品を沖縄へ
販売価格は航空便のコストが加わり、牛乳1本398円(税抜き)。300円を切るのが相場価格と比べれば割高ですが、セコマの丸谷智保会長は「北海道産の新鮮な牛乳なら、沖縄で多少価格が高くても売れる」と話しています。丸谷さんはお父さんがワインを特産品に育てた池田町長を務め、北海道産品を全国ブランドに仕立てた実力者。丸谷さん自身、北海道拓殖銀行に勤めていましたが、拓銀破綻後にセコマに転身し、創業者の赤尾昭彦さんに続く社長としてセイコーマートをさらに発展させました。店内で調理する「ホットシェフ」やワイン販売など、セブンイレブンなど全国チェーンが現在、展開する事業の先駆的な挑戦を成功させています。