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フジ「中居」ジャニーズ「性加害」吉本「闇営業」経営責任は時が過ぎても闇に埋もれない

 フジ・メディア・ホールディングスは2月27日付けで日枝久取締役相談役が同日付で経営諮問委員会の委員を辞任したと発表しました。金光修社長は「役員体制の刷新に向けて辞任を促した」と説明しますが、取締役は留任しているうえ、フジサンケイグループ代表もそのまま。40年近くも経営の実権を握り続け、2017年に代表権を持つ会長を退いた後も社長など経営トップ、幹部の人事を決めてきた人物です。「中居正広9000万円」問題を発端に暴かれたフジテレビの経営体質に染み込んだ病巣にメスを入れたとしても、日枝氏が引き続き君臨し続けるならフジテレビは本当に再生できるのでしょうか。

経営諮問委員の辞任は痛手?

 日枝氏が委員を辞任した経営諮問員会は取締役の選任、報酬などについて協議し、取締役会に助言・提言する役割です。株式上場企業の経営を中立的に監視する使命を抱えているため、委員5人のうち過半数の3人は社外取締役が占め、委員長も茂木友三郎キッコーマン取締役名誉会長が務めています。すでにフジ・メディア会長の嘉納修治氏が辞任したことに伴い委員1人が欠員状態で、日枝氏の後任として金光氏、清水賢治専務(フジテレビジョン社長)が就きました。日枝氏にとって痛手とは思えません。フジ側の委員である金光、清水両氏が日枝氏に反旗を翻すとは思えませんので、経営諮問委員会が全く意に沿わない方向へ進むとは思えません。

 しかも、フジ・メディア、フジテレビは取締役相談役として残っています。金光社長は取締役会では日枝氏の進退についての議論は出なかったと説明しているぐらいですから、すぐに辞任する空気はないのでしょう。

 日枝氏にとって取締役相談役の役職すらそれほど重い意味を持っていないかもしれません。フジ・メディアは株式上場企業ですから取締役であることは重要ですが、自身が人事した経営幹部が取締役会を仕切っているのですから、こちらも意に反する方向へ進むことはないでしょう。むしろ、「フジテレビはもっと本気で改革する姿勢を示すべき」との声が高まった時に向けて、次の一手として残しているかもしれません。

改革に終わりはない

 フジテレビは「中居正広9000万円」問題を解明するため、第三者委員会を設置して3月末をめどに報告書をまとめ、提言します。清水社長が本部長を務める再生・改革プロジェクト本部が新設され、中堅・若手社員ら組織の見直し、信頼とブランドを再構築する方向です。経営改革に向けて進んでいるとはいえ、日枝氏らフジの経営幹部は一連の提言が出揃った段階で一区切りをつけるつもりでしょう。まさか大炎上した騒ぎのガス抜きを終え、「フジテレビは変わった」との空気が広がれば良しと考えているわけではないと思いますが・・・。

 ひょっとして時間稼ぎ? テレビは新聞と違い、視聴者は次々と現れる画面の映像に目を奪われ、過去の映像をすぐに忘れてしまうといわれていました。そんな邪推がつい浮かんでしまいます。

 そういえば6年前の2019年、反社会的勢力との会合に多くの所属タレントが参加した吉本興業の「闇営業」とダブります。曖昧なタレントとの契約など吉本興業の経営体質も問われ、社長を批判したタレントは冷飯を食う羽目に。ジャーニーズ事務所創業者の性被害問題もあって「闇営業」騒ぎはすっかり埋没していますが、吉本興業など芸能事務所と反社会的勢力の関係は厳しく注視する必要があります。

吉本は反社を断ち切るために非上場化したが・・

 実は吉本興業は2010年まで株式上場していました。当時の大崎洋社長は創業100年に及ぶ歴史の中で反社の人たちとつながりがあったため、反社との関係を断ち切る目的で非上場の道を選び、その代わりにタレント育成、テレビ番組、映画の制作に力を入れると話しています。

 ちょうど上場を取りやめる方向で進んでいる頃、取材する記者に対する言動でどっちが反社なのかと驚く場面を経験しています。超有名人気タレントと反社会的勢力の親密な関係も噂されていました。企業が非上場となれば、経営情報を公開する必要はなくなります。といって、内密になんでもできるわけではありません。岡本昭彦社長は2020年に日経ビジネスのインタビューで杜撰なマネジメントだったことを認め、タレントとの契約を厳密に管理、書面化する対策を明らかにしています。

 テレビはネットにメディアの主役を奪われる寸前とはいえ、大当たりしたタレントは日本中に注目されるスターに変身します。憧れの対象でもあり、テレビが伝えることは依然、大きな影響力を持っています。常に改革、是正することは当然ですし、なんとなく世の中の関心が薄れてしまったら、元に戻ってしまうことはメディアの役割を自ら否定することです。信用されるメディアとしてあり続けるなら、経営責任を明確に説明し続けなければいけません。

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