ホンダが消える45 EVとアシモが合体、これでテスラに勝てるぞ
そう、これで勝てる!! 待っていました。本音はちょっと遅すぎたけど・・・。
ホンダがこれからテスラやBYDに追いつき、追い抜くキーワードはロボット技術「ASIMO」と言い続けてきました。テスラが一生懸命に開発に注力しているロボット技術で世界をリードしているにもかかわらず、その宝箱を封印していたのはホンダ自身。ようやくその宝箱の蓋を開けて、ホンダの魔法が登場。ジャジャア〜ンと世界にお披露目しました。
ちょっと遅いけど、待っていました
ホンダが米家電見本市CESで次世代電気自動車(EV)に搭載する基本ソフト(OS)を発表しました。名称は「ASIMO(アシモ)」。もちろん、世界最高レベルの二足歩行ロボットと評価された「アシモ」です。2026年前半から販売するEVシリーズ「Honda 0(ゼロ)」のセダンとSUV2種種に採用します。アシモは世界で最も知られている人型ロボットですから、その技術力と完成度の高さを継承したEVとして注目を集めるはずです。ブランド戦略として最高の選択だと思います。
ホンダのEVはアシモにトランスフォームし、疾走する。このイメージがとても大事です。たびたび自動車産業は100年に一度の変革期を迎えているといわれますが、それはエンジンから電気モーターやバッテリーに取って代わるという意味よりも、自動車の開発、生産そのものが根底から覆されるからです。EVはエンジンの代わりに電気モーターを駆動系に走行しますが、実は駆動系やバッテリーなど基幹部品の総入れ替えは進化の一部にすぎません。
走行性能は人工知能や電子情報を制御するソフトウエアがカギをにぎっているのです。今やEVはSDV(Software Defined Vehicle)「ソフトウエアに定義されるクルマ」と呼ばれるほど。ホンダが日産自動車と経営統合する狙いもSDVの底上げにあります。
EVの命運はソフトウエアが握る
最新事例として「テスラ」を見てみます。車内の全面中央部には大きなディスプレーが配置され、エアコン、オーディオなどの操作はスマートフォンのように画面をタッチするだけ。車に設置されたカメラを使い、周囲の状況をデータ化して運転支援や自動運転などをコントロールします。スマホ同様、ソフトウエアのバージョンアップはインターネットを介して行われるので、ソフトはいつも最新。近い将来、人工知能が膨大な情報を処理しながら自動運転するでしょうから、EVを制御するソフトウエアのOSはクルマの命運を握る心臓部といえます。
ホンダの場合、アシモで積み上げた知見がEVの心臓部に注入されます。その信頼性は抜群です。ホンダは1986年に人型ロボットの初期モデル「E0」を発表。それから10年後の1996年12月、世界で初めて二足歩行する「P2」を発表した時は世界の研究者に衝撃を与えました。進化は止まらず、2000年にはより人間に近い自然な動きを可能にして、音楽に合わせてダンスを踊ります。素晴らしい技術力を見せつけましたが、多くの人はその愛らしい姿と動きに心をつかまれ、ホンダのアイコンとして人気を集めました。
しかし、2022年には休止を発表。わざわざ発表することなのか不思議でしたが、対外的な牽制球だったのでしょう。その後も周囲を認識する技術、人の意図をくみ取って行動する自律行動制御技術などの研究を続け、運転支援システムとしてのアシモの完成度を高めていました。
テスラはホンダを追う立場
EVで世界をリードするテスラですが、人型ロボットではホンダのアシモを追いかける立場です。2021年に発表した初期モデル「Tesla bot(テスラ・ボット)」はまだ人型ロボットとして独り立ちできた印象でした。2023年12月、呼称を「オプティマス」に変更した人型ロボットは姿勢制御が進化し、スクワットの姿勢でしゃがんだり、指先で卵を捕らえたりと細かい動作もできるようになっています。イーロン・マスクCEOは27年までには発売する考えです。
テスラは人型ロボットの開発を通じて人工知能の進化を加速し、EVも「人型」に進化させる狙いを込めれています。ロボットが一緒に生活する人間を助け、あるいは会話などを楽しむように、EVも単に移動手段としてだけでなく人間と共に生活する。そんな近未来社会を夢想しています。
アシモとEVがトランスフォーム
ホンダはEVでテスラの後塵を拝していますが、人型ロボットではかなり先行しています。アシモがEVと合体してトランスフォームすれば、テスラにもオプティマスにも勝てます。