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ホンダが消える20「ねじ式からレゴ式へ」 ソニー・レゴと拓く100万円EV

 ホンダが4月12日、今後10年を見通した電気自動車(EV)の経営戦略を発表しました。研究開発費は約8兆円を投じ、このうち5兆円を電動化やソフトウエアに集中します。2030年までに世界で新たに30車種を発売し、EVの生産台数は200万台以上を目指す計画です。

 たいへん意欲的な目標です。つい最近に軽自動車「N-BOX」を切り口に「ホンダが消える」を書いたばかりですが、せっかくEVで話題が盛り上がっているので、見逃したくない視点を綴ってみました。

投資規模の大きさは事業の成功を保証していない

 最初に指摘したいのは、EVの話題は投資規模ばかり注目を浴び、大事な視点を見落としていることです。昨年9月、トヨタ自動車は車載電池の開発・生産に対し2030年までに1・5兆円を投じる計画を発表しました。9年間の合計ですから、ざっくりと年間1700億円程度。トヨタの年間設備投資はだいたい1兆円を超えます。すべてがEV向けではないとはいえ、驚く投資水準ではありません。むしろ少ないのではないかですか。発表した時期は欧米メーカーがEVを派手に喧伝していたフランクフルト・モーターショーの開催とほぼ重なります。トヨタはEVの開発に消極的ではないかとの声が広がっていただけに、”大型投資”の発表で出遅れ感を打ち消す狙いがありました。

では、ホンダの場合はどうか。ホンダが2021年5月に明らかにした決算発表によると、2021年度3月期は新機種投入や合理化・更新などに約3200億円、これとは別に研究開発には7800億円を投じています。そして22年3月期は8400億円を見込んでいました。今後6年間の研究開発費は合計5兆円程度と竹内弘平専務・CFOは説明しています。ホンダもトヨタ同様、年間1兆円を超える投資をしており、21年5月時点で今後、6年間で5兆円、年間換算で8300億円程度の研究開発費を想定しています。

 4月12日に発表したEVへの研究開発投資計画は年間換算すると、ちょうど8000億円。「あれ、これまでと変わらないじゃない」と素朴に驚きます。もちろん、研究開発の内訳は年度ごとに異なるので、単純に同水準と結論づけるわけにはいきませんが、2021年4月に就任した三部敏弘社長が2040年までにすべてEVに切り替えると宣言しているわけですから、設備投資計画の中身もEVが主力を占めると考えるのは常識でしょう。

 どうもホンダもトヨタ同様、投資規模、生産台数、車種の多さなど数字の大きさを強調するクセがあるようです。過去に同じ風景を見た記憶があります。2012年9月、伊東孝紳社長が年間600万台の世界販売をめざすと発表しました。当時の世界販売台数は400万台のころです。4割増の野心的な経営戦略と評されましたが、結果はご存知の通り、業績不振という泥沼に足を突っ込む道を歩みました。

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