注目したいのは不当に減額した金額です。ヨドバシカメラは1300万円。ビックカメラの場合が、5億円余りの減額。2年前のノジマの場合は、家電の製造委託先2社に支払う代金から7310万円を減額しました。リベートとして引き抜いたほか、発注手数料や物流センターから店舗への配送料を下請け企業に負担させました。ヨドバシカメラはビックカメラやノジマに比べてかなり少額です。もちろん、不正支払い金額に多寡はあり得ません。不正行為は摘発されるのが当然。
小額でも見逃さない姿勢
ヨドバシカメラの1300万円が物語るのは、公取委が詳細に不正行為を調べ上げ、摘発していることです。家電量販店はじめ小売業界にはびこる「リベート」「支払い繰延」「後付けの負担押し付け」などは昭和の時代にまかり通っていた悪しき商習慣です。公取委は少額でも徹底的に排除する姿勢を明確に示しています。
家電量販店の摘発はまだ続くと仮定したら、次の標的はどこでしょうか。
最大手のヤマダ電機は2008年6月、独占禁止法19条に違反する行為があったとして 排除命令を受けています。必要な費用を負担しないまま、納入業者から延べ約17万人を不正に派遣させていました。独禁法違反を認定した従業員の派遣数としては過去最大だそうです。必要な費用を負担せずに商品の陳列などをさせたほか、展示用商品や返品されたものを「展示処分品」として販売現場で作業をさせていました。かなり悪質です。独禁法の怖さを身をもって体感したでしょうから、厳守を徹底させていると思いますが、現実はどうでしょうか。
ヤマダ、エディオンは大丈夫
エディオンはどうでしょう?2024年8月、中小企業庁が公表した「下請けいじめ」調査でタマホーム、一条工務店と並んで最低評価を下されています。その後、改善に努めていますが、古傷などが残っていたら、公取委は見逃しません。あくまでも憶測です。
最近の公取委による摘発をみると、世間に訴える効果とともにいかに不正行為を効果的に皆無にするかを考えていることがわかります。中小企業庁が定期的に公表する「下請けいじめ」調査も同じで、そのPR効果によって低い評価を受けた企業が改善に向かう傾向が出ています。ビックカメラ、ヨドバシカメラなど家電量販店を摘発するのも、国民の多くが知っており、身近に感じているからです。公取委の胸の内は推察できませんが、今も次の標的に向かって作業は進んでいるはずです。