日産自動車が再び窮地に立たされたせいか、さまざまな憶測が飛び交っています。なかにはホンダか三菱商事が日産を買収するといった見方をまことしやかに解説する記事も。経営危機に直面する企業は「藁をもつかむ思い」で生き残る道を探ると思われがちですが、日産ぐらいの経営規模になれば「すがる相手」は限られます。だからこそ三菱商事が取り沙汰されるのでしょうが、残念ながら儚い希望に過ぎません。三菱自動車の再建すら四苦八苦した三菱グループです。仮に日産が三菱に頼ったとしても、それは時間稼ぎで終わります。
さまざまな憶測が飛び交う
憶測を呼ぶきっかけは11月7日に日産が発表した9月中間決算。売上高は前年同期比1・3%減の約6兆円でしたが、営業利益は90・2%減の329億円、純利益は93・5%減の192億円と悲惨な数字が並びました。日産の経営規模を考えたら事実上、利益はゼロか赤字と見るのが実態でしょう。低迷の原因は、米中の販売不振。米国はハイブリッド車人気に対応できず販売奨励金で販売台数の辻褄合わせをした結果、利益は消失。中国では席巻する中国製の電気自動車(EV)に弾き飛ばされてしまいました。
内田誠社長は経営の窮地を切り抜けるため、大リストラ計画を発表。世界の生産能力を20%、従業員の7%弱に相当する9000人をそれぞれ削減するほか、保有する三菱自動車の株式34%のうち3割を売却しました。売却によって約686億円の資金を手にしました。内田社長は「
EVに向けて新たな経営も
ホンダはリスクを負うのか