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トランプ返り咲き イーロン・マスクが主導したら「アイアンマン、地球・人類を救う」?

 ドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲きます。11月5日夜、勝利演説の中でイーロン・マスク氏をベタ褒め。「新しいスター」「とてもユニークな人物で特別な男だ。飛び抜けた天才だ」と絶賛。「私たちは、天才を守らなければならない」というぐらいですから、彼の才能をトランプ政権が逃すはずがありません。その実力を疑う人はいないでしょう。キャピタリストとして電子決済サービスのPayPalなどデジタル・インフラを創出し、自らEV、航空宇宙のビジネスを立ち上げました。今は生成AIなど人工知能の進化に突っ走っています。

PayPalなどデジタル・インフラを創出

 強烈な個性の持ち主だけに多くの批判を浴びますが、無謀と思われるプロジェクトを成功させてきたのも事実です。トランプ政権に入り、誰もが驚く政策立案を世界にどう提示するのか。正直、楽しみです。映画「アイアンマン」のモデルでもあるマスク氏。その剛腕と発想力、突破力から「地球、人類を救う」をキーワードに近未来を先取りするのではないでしょうか。

 マスク本人は自らトランプ大統領に対し「政府効率化委員会」という組織に入りたいと提案しています。世界一の富豪らしく大統領選の巨額資金を提供し、選挙の集会でも一緒にパフォーマンス。トランプ氏への投票を促すため、「毎日1人に100万ドル寄付する」という賭博法違反ギリギリと提訴されたキャンペーンを実行したほどです。多くの事業を展開しているマスク氏ですから、政治・政策との利益相反という批判を浴びるはずですが、最初から耳を貸す気はないはず。 

ヤンチャが誰もが驚くビジネスを成功に

 言動はかなりのヤンチャに見えますが、むしろ、これからのヤンチャぶりに期待したい。なにしろ、南アフリカからカナダ、米国へ移住し、大学時代はインターネット、クリーンエネルギー、宇宙に没頭し、いずれの分野も投資家、実業家として大成功を収めています。

 20歳代で起業し、PayPal、eBayの電子決済サービス事業で成功、巨額資金を手にします。その資金を元手にEV(電気自動車)のテスラに経営参加し、創業者の名も獲得。NASAに対抗して民間の航空宇宙会社スペースXを設立し、とても無理と言われた打ち上げロケットの回収を実現。宇宙分野ではNASAよりも存在感が高まっています。

 地球上どこでもインターネットにアクセスできる数万個の人工衛星で覆う「スターリンク」も軌道に乗せました。この通信ネットワークはロシアの侵略を受けたウクライナで威力を発揮しているほか、巨大ハリケーンに襲われた米国の通信の確保でも活躍し、トランプ氏が「多くの命が救われた」と感謝しました。

オプティマスは人間との共存社会のかぎ

 マスク氏に最も期待したいのは人間とロボット共存の実現。現在、「オプティマス」と呼ぶ人型ロボットを開発しており、人間と遜色ない人工知能の開発を急いでいます。2年後には製品として発売する予定です。マスク氏は生成AI で名を馳せたオープンAI にも深く関与していますが、オプティマスの実用化を通じてEVの自動運転はじめ、人工知能が人間を支える近未来社会を頭に描いています。EV、ロボット、航空宇宙の事業化に成功したマスク氏なら、現在の事業の裾野を広げる形で自ら具体化できるでしょう。

 彼が近未来をどう具体的に描いているのか。そのヒントはテスラが発表した自動運転タクシー「サイバーキャブ」のイベントです。テスラは、イベントで「ブレードランナー2049」(2017年公開)の映像を使いたいと制作会社に申し入れましたが拒否されました。理由は「マスク氏の非常に政治的で、気まぐれで、独断的な行動がときにヘイトスピーチに傾く」です。その通りだと思います。

 では、拒否された映像はどんなものか。「ブレードランナー2049年」の舞台は環境破壊が進んだ地球。月や火星など地球外に移民できなかった人間が暮らしています。1982年に公開された「ブレードランナー」は21世紀初めの東京を模した都市を舞台に大気汚染と混乱の極みの街を人間と人型ロボットが共存できるかがメインテーマ。しかし、2049年になっても人間とロボットは中途のまま。

マスク氏の大学時代からの夢を叶える?

 「ブレードランナー」にはイーロン・マスク氏が大学生の頃から夢中になっていたインターネット、クリーンエネルギー、宇宙の全てがテーマとして込められています。マスク氏はサイバーキャブのイベントで「私はブレードランナーが大好きだけど、ああいう未来を望んでいるわけではない」と話す通り、彼が描く未来にはEVで地球の大気汚染、温暖化に歯止めをかける一方、月や火星に移民する手段としてスペースXがあります。オプティマスの実用化が成功すれば、人間と同じ、あるいは上回る知能を備えた人型ロボットが人間を助け、共存できる社会に大きく前進します。

 マスク氏がトランプ政権の目玉人事として起用されたら・・・。人類はブレードランナーで描かれた近未来の回避に成功し、人間とロボットが共に助け合い、地球を守る社会に向かうかもしれません。トランプ氏のようにベタ褒めする気は全くありませんが、荒唐無稽、魑魅魍魎、百鬼夜行・・・。日本では通用しない多くの常識に囚われずに事業化したマスク氏の力量は羨ましいですし、日本が学び、実践しなければいけないテーマです。

 そんなことよりも本当にそうなったら、面白い!。トランプ大統領の返り咲きも少しは納得できそうです。

◆ 写真は「オプティマス」、Xから引用しました。

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