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日産、自動運転を横浜市、京急と実証、孤高の実験都市トヨタ・ウーブンシティとは大違い

 日産自動車など4社が横浜市で自動運転の実証実験を開始しました。参加する市民300人や横浜市の企業の従業員が専用の配車アプリを使い、希望する乗り場と行き先を選択すれば、自動運転の実験車両を呼ぶことができます。

 人工知能などを活用した自動運転は個人の利用よりも特定の地域を走るコミュニティバスでの活用が最も活躍できると期待されています。実証実験には沿線を走る京浜急行が加わっており、鉄道、バスの公共交通サービスが自動運転によってどう再構築できるのかを地域一体で探るのが特徴です。

沿線を走る京急も参加

 思わず、待っていました!と声をかけたくなりました。全国の地域交通はバスの運転手不足などで減便を余儀なくされる一方、高齢者社会の進展でマイカー運転よりも公共交通サービスを利用する機会が増えています。病院や日々の買い物に不便が生じ、80歳を超える高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えて店舗に突入する事故が多発しています。

 自治体の自動運転はすでに福井県永平寺町でレベル4(特定条件下の完全自動運転)の移動サービスを実験しています。日産の実験は鉄道、バスを運営する京急と共に地域のニーズを確認しながら、自動運転を賢く使う最適解を見つけるのが狙いで、実験の成果は横浜市のみならず全国各地で活用できるようになります。

 自動運転など近未来の交通システムの実験ではトヨタ自動車が静岡県裾野市に巨額資金を投じて実験都市「ウーブンシティ」を建設し、スタートしています。当初は地元の裾野市と連携する方向でしたが、「実用化のめどがたたない」「市民生活にそぐわない」などを理由にトヨタとの連携を断念、ウーブンシティの実証実験は地域から独立した形で始まっています。近未来都市の実験ともいえますが、地域社会との連携がなければ実験結果の有用性に疑問が残ります。

トヨタは地域とは一線を画す

 トヨタはソフトバンクと共に東京のお台場で実証実験を行っていますが、運転を支援するレベル2の段階。公共交通機関は参加しておらず、まさに実験レベルの域を出ていません。

 日産の実証実験は横浜市と協力しながら、通常の交通状況の中で行われるため、自動運転にかかる負荷はかなり大きく試行錯誤は避けられません。ただ、得られた成果は実用性が高く、地域で活用する自動運転のトビラを開くことになるはずです。

 横浜市の実証実験は横浜市のみなとみらい・桜木町・関内を含む市街地エリアで11月27日から約2か月間、実施しています。参加企業は4社で、日産が運営主体となって車両を開発し、運行するほか、京浜急行電鉄は運用体制を支援。さらに自動運転サービスの遠隔監視システムを開発したBOLDLY(東京)、監視システムを使用した乗客をサポートするプレミア・エイド(東京)の2社が支援します。

 自動運転する車両は日産「セレナ」をベースにしており、運行を監視する専用管制室をみなとみらい地区に設置。実際の配車サービスを通じて、運用体制の課題、サービスの構築を検証します。人工知能を搭載した「セレナ」はセンサーから得られた道路状況などを判断して運転操作を決めますが、管制室のモニターで走行位置や車内の様子などを監視しています。実際の運転時は運転席にドライバーが待機し、万が一の場合には対応します。実証実験をもとにシステムを進化させ、2027年度に無人の自動運転を実用化し、自治体での導入をめざします。

地域の足の利便性が高まれば、高齢者の事故防止にも

 地域の足である鉄道、バスが自動運転する車両と連携できれば、高齢者がマイカーを運転する機会は減ります。ブレーキとアクセルの踏み間違う高齢者ドライバーの事故が多発している現状を考えれば、日産、京急などが開始した実証実験がモデルになって他の地域でも開始することを期待したいです

◆ 写真は日産のHPから引用しました。

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