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下請けいじめ ⑥ 自治体最低は神戸市と郡山市、前回は兵庫県が最低 偶然の一致?!

 中小企業庁の「下請けいじめ」調査は、国や地方自治体も対象に評価しています。71の国の機関・地方自治体が2025年3月の取引状況について評価され、最低評価は神戸市と郡山市。6ヶ月前の2025年9月時点の調査では最低評価は兵庫県。知事のハラスメント問題で県政が停滞している最中での最低評価だけに、なんとなく納得してしまいました。その兵庫県庁の所在地である神戸市が最低評価となると、偶然の一致なのか、あるいは共通点があるのか。地方自治だからといって、地域性が反映されているとは考えたくありません。

国交省は最上位評価

 中小企業庁は2021年9月から毎年9月と3月の2回、発注企業の下請け企業に対する価格交渉・価格転嫁の実情を定期的に公表しており、最新の調査は2025年3月現在の取引状況。企業の取引状況では25年3月から新しく「支払い条件」を加え、現金、手形、電子などの利用で手数料を負担させているかどうかもヒアリングしていますが、国や地方自治体に対しては価格交渉と価格転嫁の2項目のまま。

 中小企業30万社が対象で、回答した6万6000社。446社と71の国・地方自治体を10点満点で評価し、平均点を4段階で分類しました。各項目で7点以上がア、7点未満4点以上がイ、4点未満0点以上がウ、0点未満がエと表記しています。

 国の機関は国土交通省と都市再生機構。国交省は価格交渉、価格転嫁ともに最上位評価のア。政府が下請け企業の取引改善を謳っているわけですから、建設・土木など発注業務が多い国交省が先頭を切って見本を示すのは当然。ところが、都市再生機構は価格交渉はイ、価格転嫁はウ。建設・住宅産業は元来、下請けとの契約で低い評価を受けていますが、都市再生機構が国の機関でありながら価格転嫁で無理強いするとは、なんともみっともない。

 国を除いた69の地方自治体をみてみます。最低評価の神戸市と郡山市は価格交渉、価格転嫁ともにウ。いずれかがウと評価された自治体は他にもありますが、そろってウは神戸市と郡山市だけ。前回最低だった兵庫県は価格交渉でア、価格転嫁でウでしたから、神戸市と郡山市は兵庫県を下回る最低評価を更新しました。0点未満のエは自治体ではあり得ないでしょうし、あってはいけません。神戸市と郡山市を最低ラインに他の自治体も改善に取り組んで欲しいです。

神戸市と郡山市は最低ライン

 兵庫県と神戸市はなぜ最低評価を受けてしまったのか。兵庫県は知事主導で財政のスリム化などを推し進めた結果かもしれませんが、神戸市の場合は現在、中心地の三宮駅周辺の大規模再開発で多くの工事関連会社が参加しています。限られた財政事情をやり繰りするなか、価格の交渉、転嫁で厳しい姿勢にならざるを得なかったのかもしれませんが、弁解の余地はありません。

 ちなみに今回、兵庫県は価格交渉がア、価格転嫁はイ。前回に比べ価格転嫁で1ランク改善しました。神戸市もきっと次回調査で改善すると期待しています。

 地方自治体の「下請けいじめ」は、本来あってはいけないのです。発注業務は公共性を帯びていますし、雇用や税収などで地域経済を支える中小企業から利益を奪取することは自らの首を絞める行為に直結します。

 初めて国や地方自治体を加えた2024年9月の調査結果をみても、公表された国土交通省、島根県、福岡県、熊本県、東京都、兵庫県の6国・地方自体のうち国交省と兵庫県を除く4都県は価格交渉「7点以上」、価格転嫁「7点未満、4点以上」の評価でした。

 今回の公表では国・自治体が71に増えましたが、国を除く69の地方自治体で価格交渉・転嫁ともにア、あるいはイ以上と評価されたのは55自治体。ともにアと最上位の評価されたのは北海道、山形県、石川県、八戸市。

 すべての自治体が最上位のアで占められるのはいつでしょうか。次回調査が楽しみです。

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