車戯画・ソルテラが照らすスバルの未来(3) トヨタを離れ、ホンダ、アップル視野に世界へ
新しいパートーナーと世界へ飛翔したら
それではソルテラ以後の電気自動車の世界をスバルはどう受け止めれば良いのか。またトヨタにとってスバルの存在はどの程度の価値があるのか。同じ疑問はトヨタが資本参加しているマツダにも浮かびますが、こちらは違う機会に論じます。個人的な見解は、スバルがなくても困らないのがトヨタです。トヨタは世界の自動車メーカーと競争するだけでなく、世界最大の自動車メーカーとして脱炭素の排出源である自動車の存続に精力を注がざるを得ません。スポーツカーなどスペシャリティな車を最近発売しているのは、現在の豊田章男社長の趣味を反映しているだけです。
トヨタの経営の主軸は自動車を今後も移動体として認めさせ、とりわけ発展途上国を中心にハイブリッド車やガソリン車の販売を永続することにあります。スバルやマツダのように自動車の走る楽しみをユーザーに体感してもらい、自動車の醍醐味を喜んでもらう価値観は二の次です。
スバルにとってトヨタは永続的なパートナーになりえません。チャンスがあれば、スバルもトヨタも提携解消に向かう可能性はあります。スバルが受託生産など経営的なメリットを重視するなら提携関係は続くでしょうが、今後もスバルブランドに誇りを持って生きていこうと考えれるなら、もっと積極的にトヨタ離れを進めるでしょう。
ホンダやアップルはスバルの4WDが欲しいはず
では次のパートナーは誰か。電気自動車はじめ新規開発の投資余力を持っていないスバルですから、新しいパトロンは必要です。第一の候補はホンダです。ホンダはこのほど電気自動車進出を計画するソニーと提携すると発表しました。エンジン搭載車全廃の計画も明らかにしており、電気自動車へのシフトは加速します。
電気自動車の世界はテスラはじめ4WDを活用した優れた走行性能が高級車にとして認知されています。ホンダはソニーと提携しましたが、この分野を補うことはできません。F1で鍛えた技術があるとはいえ、それが高級車が求める走行性能につながるわけではありません。過去、何度もシティのシャトルなど4WD車に挑戦していますが、ホンダの技術は他社との差別化に成功しておらず、スバルが得意とする4WDなど多種多様な走路での走破技術は欲しいはずです。
手っ取り早い提携先ならドイツのBMWです。もともとスバルが日産と別れ、資本提携したかった会社です。それを断られてGMと組むことになった経緯があるだけに、元の鞘に戻る感じですね。
BMW、この会社もホンダ同様、自社技術に誇りを持っています。最近、スペシャリティ分野の自動車メーカー、アルピナを買収しています。高級感のある個性的な技術力を取り込む戦略を継続しています。しかし、BMWも電気自動車の高級車にとって重要なSUVの開発では遅れ気味です。スバルとBMWは相互に補い合い、世界のどのメーカーも太刀打ちできない個性を際立たせることができるはずです。
最も多彩な未来図を描ける相手はアップルです。アップルは電気自動車への進出を計画しています。こちらも誇り高い会社です。価格競争を繰り広げる大衆車市場で勝負するとは思えません。自動運転、走行性能、エンターテインメントなどでアップルならではの宇宙を描こうとするはずです。彼らが求める自動車技術のピースにスバルはピタリとハマります。技術志向、世界の他が真似できない商品力、多少高くても購入するブランドを愛する顧客層など。アップルならトヨタからスバルの資本比率分を簡単に支払いできます。むしろ安い買い物でしょう。この組み合わせも楽しみです。
車戯画はここまで。ただ、戯画が現実となる可能性は高いかもしれません。ホンダとソニーの提携も最初は遊び心から発案しました。世界で売れる自動車メーカーは実はスバルです。その社名の通り、天空、宇宙で輝く存在になりたいと思いませんか。