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トヨタは高須クリニック?! 豊田章男会長が運転するモリゾウCM 英語+字幕で自身をアピール

 何度見ても、どうしても高須クリニックの高須克弥院長と二重映しになってしまいます。高須院長がヘリコプーターを操縦しながら、アラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイ上空を飛び回ります。そして「YES、高須クリニック」の一言。豊富な石油資源が産み出す巨額のマネーで高層ビルが立ち並ぶドバイの摩天楼と高須院長。どんなイメージを作り出したいのか。その意図は不明ですが、美容整形・外科の世界を映し出しているのでしょうか。

 トヨタ自動車の豊田章男会長がレクサス「LBX」のCMに出演しています。ハンドルを握りながら、車への熱い思いを語る様子が高須院長のカメラ目線で振り向く姿とダブってしまいます。日本のテレビで放送しているのに豊田会長は英語で話しています。字幕付きとはいえ、誰に向かって伝えようとしているのか。YouTubeでも流していますから、世界を意識しているのか。そういえば高須院長も「YES、高須クリニック」と最後は英語で締めていました。

 CMの車はモリゾウ・エディションという仕様で近く発売するそうです。モリゾウとは、「クルマ屋」を自任する豊田章男会長が自ら付けたニックネーム。愛知万博のキャラクターが由来です。

 自身の名前を冠する新車ですから、気合が入っています。HPには新型LBXを「高級車の概念を変えるクラスレスコンパクト」と表現。レクサスで初めての1600CC3気筒エンジンにインタークーラーターボを搭載しました。

 足回りもすごい。車重の軽量化、機敏に反応するトランスミッション、レースやラリーで採用するモノチューブショックアブソーバー。「気持ちが昂り、ずっと走らせていたくなる」を実現したそうです。なにしろ開発はモリゾウこと豊田会長とプロのドライバーが携わり、走行性能に磨きをかけています。

 コンセプトは「このスニーカーのようなクルマをつくって欲しい」の豊田会長のひと言から。「いつまでも履ていたくなる、気軽にどこへでも出かけられる。まるで、ラグジュアリーなスニーカーのように。本物を知る人が、素の自分に戻り、日常でカジュアルに使えるクルマ」と説明しますから、かつてのCM「ネスカフェ」を思い出してしまいました。

 モリゾウ・エディションは実績があります。カローラをベースに抽選方式で発売されました。価格は715万円で乗員は2名。大衆車のカローラのイメージとはかけ離れた高価格と乗員数です。豊田会長が初めて乗った車がカローラで、その思い入れが詰め込んだそうです。

 豊田会長は 自社のメディアサイト「トヨタイムズ」、そのテレビCMを通じて「クルマ屋」としての熱い思いを語り続けています。若い時からレーシングドラーバーの修行を重ね、レースにも出場した経験を持ちます。自らを「モリゾウ」と呼び、トヨタ車の品質を最終チェックするマスタードライバーも務めています。

 実力の程は分かりません。レース用のワンピースを好んで着ているので、心の底からレースが好きなのでしょうが、F1や国際的なレースに詳しい専門家によると実際にレースに参加しても、創業家の御曹司を守るために周囲を守るレース車があると聞いたこともあります。

 マスタードライバーの職も人事権を持っているのは本人。自分で辞令を下しているのですから、客観的に見てどうか不明です。ホンダなど自動車メーカーの歴代社長を見ても、開発中のモデルを試走する社長を多く知っていますが、自分自身で「マスタードライバー」的な役割を誇示する人はいませんでしたが・・・。

  世界一の自動車メーカーでありながら、経営トップの人間的な魅力をアピールするのもブランドを高める一策かもしれません。トヨタイムズでは「経営豊田章男14年の軌跡」というタイトルの連載が始まっており、「モリゾウとしてマスタードライバーとして社長として…トヨタのクルマを変えた豊田章男」が掲載されています。自ら創設したサイトですから、いかようにも編集できる権限を持っていますが、自画自賛が過ぎるとブランドをむしろ下げる結果になってしまいます。

 高須院長はファミリービジネスです。トヨタは日本を代表する企業です。家業を大事にするのは共通ですが、豊田家が保有するトヨタ株は全体の数%。全く違います。

 世界でトヨタに関連する会社で働く従業員は38万人とか。家族を含めれば100万人を超えるでしょう。自動車産業の広い裾野を考えれば、トヨタの影響力は絶大です。会社の私物化。そんな誤解が広がるのはトヨタの従業員にとって「NO」でしょう。

◆写真はHPから引用しました。

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