
ディスコは健康優良企業「過去最高の業績」「女性働きがい第1位」「9年連続の健康優良法人」
半導体製造装置のディスコ が2025年3月期決算で過去最高記録を連発しました。売上高、売上総利益率、営業利益、営業利益率、ROE(自己資本利益率)、EPS(1株あたり利益)の合計6項目です。このうちの3、4項目を過去最高記録するだけでも凄いのに、なんと6項目も。しかも営業利益率は42・4%。前期から4ポイント近くも上昇。
まだ驚いてはいけません。「働きやすい会社調査」で女性ランキング1位、経産省が認定する健康経営優良法人に9年連続で選ばれています。身も心も最優良の評価を集めています。「切る、削る、磨く」のディスコです。高収益経営を支える従業員と共に歩む努力も忘れていません。
過去最高が6項目も
まず2025年3月期の概要。売上高は27・9%増の3933億1300万円、営業利益は37・3%増の1668億3400万円、経常利益は38・0%増の1689億4300万円、純利益は47・1%増の1238億9100万円。誰もがうなる数字が並びます。配当は前期の307円から413円へ。株価はトランプ関税の貰い事故があって一時期より落ち込んでいますが、配当にがっかりする株主は少ないはず。
残る過去最高を記録した指標をみると、売上総利益率は70・6%、営業利益率は42・4%、ROEは27・6%、EPSは1143・26円。営業利益率は思わず口がポカーンと開く高水準です。
半導体景気の先行きは不透明ですが、ディスコは世界的な高いシェアを握っています。半導体の後工程で使われるダイシングソーやグラインダ・ポリッシャーなどの精密加工製品は世界シェアの5〜7割を占めています。半導体投資は乱高下が当たり前ですが、人工知能などの成長分野が伸びるのは確実。ディスコは人工知能向け半導体に高いシェアを持つエヌビディアと太いパイプを築いており、足元から崩れる心配はなさそうです。
働きやすい会社としても第4位
高収益だけに目を奪われたら、ディスコの本来の強さを見落とします。高収益を稼ぎ出す経営の実力は技術だけではありません、2025年の「働きやすい会社調査」で第4位、とりわけ女性が最も働きやすい会社として第1位の評価結果に輝いています。ディスコは関家一馬社長が若い頃からパートを含む女性従業員に生産工程や品質の管理を任せ、効率とやる気を同時に高めてきた努力が調査結果に表れています。
手前味噌ですが、この調査は日本経済新聞社と日経リサーチが手掛けており、調査立ち上げ時は私も深く関わっています。会社の規模、収益力を参考にしながら、多くの指標を使って従業員が働きやすい会社かどうかを数値化し、ランキングします。もう20年以上も続く調査ですから実態をかなり反映しており、信頼できるレベルです。ディスコの経営が調査でも明確に反映されているのがとてもうれしいですね。
健康経営優良法人は9年連続
まだあります。経済産業省が推進する健康経営優良法人に9年連続して認定されています。2016年度から産業医、保険者、投資家が参加する基準検討委員会が「法令遵守・リスクマネジメント」を前提に「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」の視点から、経営者から現場まで実践できているかを評価します。毎年、上位500社が最優良ランク「健康経営優良法人」として認定するのですが、ディスコは9年連続認定されているのです。
世界最先端の技術を武器に躍進しても、経営陣と従業員の結束力がない組織はいずれ破綻します。華々しく誕生したベンチャー企業がいつの間にか消えてしまう主因です。
並みの優良企業ではない証
息長く高収益を維持する優良企業は設備投資の多寡だけで識別できません。経営指標になかなか表現されませんが、技術開発力、生産・販売の現場に立つ従業員の意識の高さが世界的な競争力を生み出す源泉になるのです。従業員の健康と安全に十分に留意している会社は、そのまま経営の持続性が十分に担保されていると見て良いでしょう。
ディスコが並みの優良企業でないことの証でしょう。日本にもっと増えてほしいです。