高市政権は内弁慶 弱者にはタカ派、強者にはハト派 素顔はどちら

 高市早苗首相は日本初の女性総理大臣です。日本は全世界でも女性活用が遅れている最後進国。活躍をとても期待しています。2025年10月21日に発足してわずか3ヶ月しか過ぎていませんが、政権のキャラクターが目に浮かんできました。

タカ派雑誌も売れる政治家と期待

 元々、保守党の自民党の中でもタカ派として知られ、一言一言は明瞭で世論に突き刺す術を熟知しています。タカ派の有名雑誌「WiLL」を出版する会社のある幹部は2年前の自民党総裁選で石破政権氏に敗れた時、「首相になれば、彼女の単行本は10万部単位で売れる人気があるのに」と残念がっていましたが、慧眼通り首相就任後の支持率は70〜80%と異例の高さを維持しています。言語不明瞭で、いわゆるハト派の前任の石破茂首相と比べて2倍程度も上回ります。

 でも素顔のキャラは「内弁慶」。この一語がピッタリではないですか。予想したイメージと違いますか。もっと豪速球を投げ込む剛腕なキャラが相応しいでしょうか。内弁慶の内は不要。弱気を助ける力強い弁慶が適切と感じるでしょうか。ちょっと短気でおっちょこちょいだが、忠義を守る信じられる人物を期待しているかもしれません。

 3ヶ月で何がわかる?と怒るかもしれませんが、1月23日の通常国会の冒頭で衆議院解散を表明する可能性があるというなら、高市首相の素顔を改めて見極める必要があります。外交・安全保障で強硬な姿勢を示し、強い経済を標榜する政策を繰り返し訴えていますが、日本の眼前には世界の政治経済が大きく揺らぐ現実が広がっています。

 ロシアによるウクラナ侵攻、中国が台湾の四方を囲んで何度も軍事演習する台湾有事の可能性、ベネズエラ大統領を拘束して石油権益を我が物にするトランプ米大統領、出口が見えないイスラエルのガザ侵攻・・・いずれも一瞬たりとも眼を離すことを許さない緊張が地球上を走っています。日本がどう対峙するのか。高市首相の決断が試される時です。

国民、野党には強さをアピール

 さて本題。内弁慶の一面を強く感じたのが2点。国会答弁とトランプ大統領への対応です。

 まず国会答弁。「そんなことよりも、定数削減をやりましょう」。政治資金を追求する立憲民主党の野田代表に対する答弁ですが、日本維新の会を取り込んで過半数を確保した勢いもあって、野田代表の質問に答えずに話題の矛先を変えてしまいました。野党第1党とはいえ、国民の支持率が低い立憲民主党は怖く無いとの本音を丸出しした瞬間でした。

 台湾有事も一例に。衆院予算委員会で立憲民主の岡田氏との質疑の中で「それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」と答弁。事前に内閣官房が作成した応答要領では「台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控える」。従来の政府見解を踏み越えて持論を披露しました。

 共通するのは高い支持率を集める世論を念頭に「強い高市」を明確にアピールすること。自民党総裁選の勝利直後、「働いて」を5回も繰り返して自己アピールした手法と同じです。国会では野党に左右されず自民党が新しい問題に果敢に挑むとともに、中国に反発する国内世論の期待に応えるタカ派として真骨頂を示したかったのでしょう。ちょっと短気だけど、弱いものを助け忠義を死守する弁慶の外面を訴える「面目躍如」といえそうです。

 ところが対外的な弱さも明確です。高市首相は年頭の記者会見で米国のベネズエラ軍事攻撃について論評を避けました。「わが国は従来から自由、民主主義、法の支配という基本的価値や原則を尊重してきた」と説明し、「私とトランプ大統領の間を含めて、さまざまなレベルで緊密に意思疎通を行っている」と繰り返すだけ。

トランプ大統領には口籠る

 日本の安全保障を支える最強のパートナーとはいえ、トランプ大統領の国際法を無視した暴挙について批判しませんでした。日本国内ではタカ派でも、外交では普通の政治家。英国、ドイツ、フランスなど欧州の主要国も米国の軍事作成を直接評価していませんから、横並びと言えばお終いですが、ウクライナ侵攻などロシアの脅威に足がすくむ欧州とは違います。タカ派らしい筋を通した論点を米国に提示しなければ、日本のタカ派は米国のことならなんでもOKと答え、中国には強めの発言を繰り返すだけの政治家と勘違いされてしまいます。

 世界の政治経済が安定している時なら、日本の政治家が内弁慶であってもなんとか許されるかもしれません。しかし、現在は第3次世界大戦の前夜にいる覚悟を持って、日本の未来を見定め、決断する時です。国内世論のウケばかりに神経を使い、衆院選挙の勝利にエネルギーを消耗する政治家はもう世界の潮流を見失ったとしか思えません。

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