
消滅する東京電力 外部資本と事業継続するも原発・脱炭素の次代を担うのは誰?
東京電力が事実上、消滅に向かうのでしょう。2026年1月に発表した新たな再建計画で、外部資本を受け入れる提携戦略を盛り込みました。福島第1原子力発電所事故への対応、既存の原発安全対策、送電網増強など巨額資金を確保するためには、事業継続を最優先し、電力会社の枠組みを大きく変えるしかありません。
ファンドや商社が資本参加?
提携相手は国内外の投資ファンドやエネルギーに投資する事業会社や総合商社などが有力視されています。福島第1原発の廃炉を完徹するためにも国が経営を監視するとしても、東電は新たに多くの外部投資を受け入れることによって解体することになります。
外部資本の受け入れは必然でした。東電の目の前に巨額の借金と資金需要が待ち構えています。福島第1原発事故による賠償や廃炉に向けて、国から11兆円を超える借金を抱えています。毎年、純利益から年5000億円程度を返済し続けなければいけません。再稼働をする柏崎刈羽原発についても、6、7号機が国の安全審査、地元同意を得ているとはいえ、6号機は機器の不具合で停止中。7号機はテロ対策施設を建設しています。
洋上風力や次世代地熱発電など再生可能エネルギーの電源も増やす計画です。2040年度までに供給する電気の6割以上を脱炭素電源にする目標を示していますが、データセンター向け電力需要が首都圏で急拡大しているため、急ピッチで進めなければいけません。
かつての東電は日本経済のリーダー
「腐っても鯛」。失礼は百も承知ですが、かつての東電は日本の電力、石油などエネルギー産業を主導するとともに、経団連会長を送り出すなど日本経済のリーダーでした。福島第1原発事故で主導力も信用力もすべて失いましたが、東電に代わって日本の産業界を率いる責務を負える企業は見当たりません。といって、脱炭素に向かうカーボンニュートラル時代への道のりが国におんぶに抱っこのままで進むとは思えません。
東電は株式上場を廃止する可能性もあります。東電の小早川智明社長は記者会見で「企業価値向上はこれまで以上に厳しい道のりだ」「中長期的な廃炉推進と企業価値向上を両立するカギは提携の実現にある」と強調。株式の非公開化について問われ「制約は設けない」と答えています。
ただでさえ、東電の経営主体は国の管理下に置かれ、不明確です。ファンドや事業会社が新たに参加すれば、もう呉越同舟。ファンドや事業会社の思惑が国と一致するわけがありませんし、仮りに非上場企業となれば経営に対する監視機能は弱体化します。外部資本の注入で財務内容に信頼感が戻りますが、図体がでかいだけで足元はフラフラ。
中部電、三菱商事などは信用失墜
日本が原発再稼働や新増設、さらに脱炭素を進めるためには、信頼に足る旗振りが必須です。例えば原発。中部電力を見てください。原発再稼働に向けた審査で不正なデータを使い、原子力規制庁の目を逃れようとしました。再生エネも同じです。三菱商事は秋田、千葉両県の海域で進めていた洋上風力発電プロジェクトを突然、中止。風力発電事業に対する信頼を失墜させました。
太陽光発電は? 野放し状態で急速に拡大した結果、北海道はじめ全国各地で乱開発や自然破壊が大きな問題になっています。
国がカーボンニュートラルを掲げ、経済産業省が具体化な政策を推進したとしても、事業を進めるのは企業です。電力会社、総合商社、エネルギー会社、国内外の投資ファンドそれぞれ異なる思惑をまとめ上げるリーダーが必要です。
誰が務めるのでしょうか。というか誰が相応しいのか悩んでいる人はいるのでしょうか。

