焼き鳥 Good Day 梅田、曽根崎、西天満 Brand New Day
お初天神を離れ、西天満から梅田方面に歩いて戻ることにしました。この界隈を歩くのはきっと10年ぶりぐらい。きれいなビルとお店が立ち並びます。「大阪はゴチャゴチャして汚い街」はよそ者の偏見だと目の前に突きつけられた思いです。おしゃれなテナントが多く、外国人観光客と同じ視線で歩き回っていたら、あるギャラリーが視界に入りました。
窓越しから不思議な国のアリスに登場するようなウサギが立っているのが見えます。「入って良いですか」と声をかけてドアを開けました。大小の人形、寓話の主人公や脇役を演じるような動物が天井からヒモでぶら下がっています。結構、残酷な風景に映ります。「なんか大阪の空気に合っているなあ」と再びよそ者の偏見が疼きます。店番のスタッフは夜に妙な人が入ってきたと警戒したのか、ちょっと慌てていました。「やっぱり残虐だなあ」と呟く声に苦笑するばかりでした。
ギャラリーを出ると、期待していた大阪の風景が待っていました。「頭で刈る頭」の看板がビシッと掲げられています。意味することがわかるようでわからない。その後ろには昆布屋さんの看板も。北前船が運ばれる昆布は大阪でおいしい佃煮に生まれ変わります。現代アート、昭和の理髪店、江戸時代から続く昆布店。何事も飲み込んで違和感のない風景にしてしまう懐の深さを感じます。
そのまま梅田、福島方面に向かい、大手新聞社のそばで何軒目かの居酒屋さんに入りました。ラグビー愛好者が集まるお店のようで、飲みたかった日本酒はないだろうと思ったら案の定、「ありません」との返事。「福島駅に向かう途中に良いお店があるよ」と道順までていねいに教えてくれたのですが、そこまで親切にされたらここで飲むまないと申し訳ない。焼酎をキッといきました。
梅田の大阪駅周辺は大規模な再開発が進行中で、どんどん看板が英語とカタカナに書き換えられています。駅のガード下にあった汚いけど歴史を感じるお店が消え、コンビニや美味しそうなパン店や惣菜店が居心地良さそうに並びます。大阪駅周辺が東京・表参道になる日が着実に近づいているようです。体を斜め横にして並んで朝からビールと串カツを食べる大阪駅界隈の空気が恋しいと思うのはやはりよそ者の偏見、勝手な思入れなのでしょう。
綱島町で見かけた看板です。「セラヴィ」。きっとC’est La vie、「これが人生さ、仕方がない」