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吉野家(並)150円で2杯を食べたのが40年以上前、ファストフード500円の攻防はまだ続く

 吉野家の並盛を150円で食べたことがありますか。

 1970年代、40年以上も前です。メニューに記載された定価は300円。外食産業が急速に拡大している当時でもハンバーガーや駅そば、牛丼などライバルチェーンに対抗するため、吉野家は時々、半値キャンペーンを展開してくれました。マクドナルドは量が少ないので実質割高。選択肢には入りません。外食する時はいつも吉野家か駅そばの2択。

 お金が全く無い大学生の頃ですから、並盛りを半値で食べられるなんて夢のよう。キャンペーンの最終日はお店に深夜入って明日の食事分も念頭に並盛り2杯を食べます。カウンターそばに座っていた同じ歳ごろの男性が「すげえ、食うなあ」と呆れていましたが、こちらは「馬鹿野郎、明日は食事抜きだよ」と心の中で怒りながら、無料でいくらでも追加できる赤しょうがと七味をご飯に足し、胃袋を満たしました。

 こんな昔話を思い出したのも、吉野家の並盛が500円近い448円(税込み)になっていることをつい最近知り、驚いたからです。1966年は200円、私が学生の頃は300円。1979年に350円に値上げされましたが、この値上げが裏目に出て1980年の会社更生法申請に追い込まれます。

 コロナ禍前までは吉野家に定期的に通っていたましたが、その頃は380円。吉野家のキャッチフレーズは「早い、うまい、安い」。並盛りはその象徴ですから、300円時代から40年以上も経過しても380円に留める価格設定は心の底から「えらい」と思っていました。

 吉野家は経営再建後も和食のファストフードとして価格にこだわってきました。食材の牛肉調達で依存してた米国産が狂牛病で調達が難しくなった時もあり、鮭の朝定食や豚丼など牛肉以外の食材を増やし、1人当たりの客単価アップに努めています。1980年代、吉野家を取材していた頃、テレビCMでは「牛丼一筋80年」が連呼されていました。今は創業120年を超えます。その間、いろいろ店舗のコンセプトを変えるなど試行錯誤を続けていますが、ハラスメント事件で10年かけて開発した新メニューの親子丼が吹き飛ぶなど結局は自らのアイデンティティである牛丼に戻るのも吉野家らしい。

 並盛り448円もむしろ大健闘していると見るべきなのかもしれません。2021年から輸入食材が高騰しており、2022年から外食メニューも値上げが相次ぎ、今後も続きそうです。コロナ禍で足が遠のいていたせいか、500円玉の一歩手前で寸止め状態の価格設定に興味が向かいます。

 久しぶりに周辺の飲食店を見て回ると、どうも500円ワインコインが攻防ラインのようです。近所のおいしい立ち食いそば店は、目玉の「かき揚げそば・うどん」が460円。牛丼と並ぶ学生の定番であるラーメンはどうか。今や1000円を超えても驚かない時代ですから、もう牛丼、駅そばは相手にせずというスタンスかと思ったら勘違いでした。吉野家に近いラーメン店は「毎月10日は500円」と店頭にポスターを張り出し、真っ向勝負でした。

 バブル経済直前に倒産した吉野家は、バブル経済崩壊後も経営再建で四苦八苦してきました。長く続いたデフレの時代が終わり、インフレが始まりそうな今、並盛りはいつまで500円の壁の前で足踏みするのでしょうか。

 並盛りに汁だく、そして卵を追加して赤しょうがをドバッとのせて最後に七味。久しぶりに贅沢をしてみよう。

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