旭川がASAHIKAWAに、外国人宿泊数が過去最高 ニセコをコピー&ペースト?

 ついにというか、やっぱりというか。北海道の旭川市を訪れた外国人の宿泊数が過去最高を記録しました。2024年度の外国人宿泊者数は前年度比48・3増の31万3000人。ほぼ5割増です。旭川市の人口は31万4000人ですから、人口と同じ外国人観光客が来訪しました。日本人を含めると、宿泊者数は103万1000人と過去2番目の水準。当然、外国人宿泊数はまだまだ伸びます。ニセコ、富良野に続く国際リゾートへの助走を終え、離陸したようです。

宿泊者数は31万人超

 押し上げるけん引役はやはりスキーとスノーボード。スキーやスノーボードが楽しめるウインターシーズンである2024年度下半期(10~3月)の宿泊者数は上半期(4~9月)を上回ったことでわかるとおもいます。

 個人的な実感と一致します。旭川市は好きな街です。ホテルの宿泊費が割安で、全国でもレベルの高い居酒屋が多く、毎年通い続けています。訪れるたびに外国人観光客の姿が増え、宿泊費も徐々に高くなり、変化の兆しは体感していました。5年前ぐらいは中国やタイなどアジアを中心にした観光客が増え続けていましたが、大半は人気の旭山動物園に向かい、スキー場へ向かうといってもスキーを体験する初心者が目立っていました。

 ところが、ここ数年は欧米やーストラリアなどからスキーやスノーボードを抱えて近隣のスキー場を訪れる姿が増えました。2025年1月、2月を振り返っても、午後5時過ぎになると10人単位の外国人グループがスキーウエア姿でホテルに戻り、浴場などで着替えをしている風景が当たり前になってきました。みなさん、スキーを堪能した充実感を発散しており、風呂上がりのビール、ワインを早く飲みたいという顔をしています。

ニセコをコピー&ペースト

 ニセコでかつて見た風景を眺めている気分になりました。まるでコピー&ペースト。きっとニセコで爆発した沸騰が始まるのです。

 ニセコ・スキーリゾートの地元である倶知安町も2024年末、ホテルなど宿泊能力が倶知安町の人口と同じ1万6000人を超えました。ウインタースポーツのハイシーズンになると、ホテルはほぼ満員。1泊の宿泊単価は3万〜10万円が並びます。街は英語などの看板が目立ち、夜の飲食も外国人向けが当たり前、もう遠い存在です。

 倶知安町と旭川市は都市圏の規模が違い、単純比較はできませんが、旭川市も都市人口と同じ外国人客が宿泊すれば、次第にニセコ化が始まるでしょう。ニセコ地域の宿泊能力はこの8年間で8割も増加しているそうですから、旭川市でもホテル建設や外国人を狙ったタワーマンションが始まっています。

 旭川市の主要スキー場、カムイスキーリンクスを核にした大規模なスキーリゾート構想が動き始めており、2035年までに戸建て住宅やホテルなどを建設する計画です。カムイスキーリンクスは旭川市からバスで40分ほどの好立地にあります。雪質はパウダースノーで、ゲレンデは広大。雪面を整備しないバーンを多く設定し、外国人に人気が高いツリーランなどをスキーやスノーボードで楽しめるゲレンデです。

近隣には素晴らしいスキー場が多い

 外国人観光客を迎える玄関、旭川空港は旭川市に近く、近隣の富良野との相乗効果で外国人スキーヤーをもっと呼び寄せるでしょう。カムイや富良野以外でも比布など雪質が素晴らしいスキー場が多く、昨シーズンも旭川駅からスキーを抱え、スキーブーツを履いたまま、JRに乗って比布駅で降りる外国人5人のグループを見かけました。

 旭川市には最強のコンテンツ、旭山動物園があります。スキーやスノーボードを楽しんだ後、家族連れの外国人観光客を楽しめる仕掛けをどんどん考案していけば、ニセコや富良野とは異なる国際リゾートに飛翔できます。ただ、ホテル宿泊費はどんどん割高になるでしょう。利用する日本人には辛いことばかりです。

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