2年後のバイオネスト 枯れ葉が地球を支える世代を育てる源に

  2024年12月、日課として散歩する公園を歩いていたら、林の中に配置されていたバイオネストの周囲で10人ほどが作業していました。ヘルメットを被り、バイオネストの中から腐葉土を掻き集め、袋詰めしています。「ようやく出会えた」。ちょっと感激しました。

 公園は秋に紅葉した樹々から枯れ葉が舞い落ち、公園路はじめ至る所が赤や黄色で染まります。わざわざ遠くへ出かけなくても、有名な観光地に劣らない秋の色彩に包まれます。ただ、紅葉が終わると公園中を美しく染め上げた葉は茶色へ変わり、乾燥した葉はちょっとした風で吹き飛び、旋風のように舞い始めます。それはそれで見た目は美しいのですが、なんかもったいない。

 「良い肥料になるのに・・」と余計な心配事をして歩いていたら、ちょうど2年前の2022年12月、毎日散歩している公園でバイオネストと出会いました。「バイオネストって何?」というぐらい何もを知りませんでした。バイオネストは、枯れ枝などを組み込んだクリスマス・リースの形状をしています。リースの真ん中には紅葉した赤色や黄色の葉が敷き詰められていました。林に溶け込む大きなリースとして飾られていると見えたものです。ところが、飾りとしての役割だけはなく、土壌の栄養を生み出すのです。とても癒される風景に映りました。

 2年前には、「?」というこちらの素朴な疑問に答えるように立て看板が掲げられていました。

 これはバイオネストです。「巨大な鳥の巣のアート」のように見えますが、〇〇公園の自然素材でできた手作りコンポストです。2022年10月に〇〇小学3年生の児童たちが4つのバイオネスト を編み上げました。一年以上かけて、中の落ち葉が土中の微生物によって分解され、腐葉土(堆肥)に変わっていきます。ゆっくりと続く自然の変化を、子供たちと一緒に見守ってください。(注;〇〇は修正しました)

2年前のバイオネスト

 それから2年間、ほぼ毎日、バイオネストがある公園路を歩き、どう変わっていくのか、そしてどう使われるのかを観察していました。掻き集められ、堆積した枯れ葉は土壌に変わっているのかどうか。枯れ葉が次第に粉末状に変わり、土になっている雰囲気は外目でもわかりますが、素人が覗き込んでも正直不明です。いつ”収穫”するのだろう。どんな作業なるのだろう。素朴にバイオネストのその後を見てみたいと考えながら、いつかその作業を見てみたいと思い歩いていました。

 あれから2年後の12月、運良くバイオネストの手入れ作業に出会えたのです。立て看板で説明していた通り、腐葉土を集め肥料として使えるように袋詰めしています。掻き集めた枯れ葉がなくなったら、補充しなければいけません。次の興味はどうやって補充するのか見てみたい。

 1週間後、再び幸運にも出会えました。小学校の生徒さんだと思います。先生らと一緒に公園内の枯れ葉を集めています。かなりの人数です。みんなでワイワイ楽しそうに枯れ葉を掻き集め、大きな袋に詰めています。その袋をバイオネストまで持ち運び、枯れ葉を注ぎ込んでいます。

 枯れ葉が腐葉土となって木々や花の肥料として生育を支える。その木々や花は新しい実や種を宿し、新たな生命を生み出す。命の循環ともいえる流れを生徒は枯れ葉を集め、腐葉土を作る作業を通じて体感しているのです。とても単純な作業に思うかもしれませんが、人間が最も大切にしている命の継承を秋の気持ちの良い空気を感じながら、そして楽しい授業時間として知識と体験を深めているようです。

 バイオネストが次世代に命の大事さを教え、未来を担う若者を育て上げる瞬間にも見えました。バイオネストは素晴らしい。

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