独酌三四郎の正面

漱石の三四郎は読んでいませんが、旭川の三四郎は飲んでいます。

お酒は焼燗

お酒はやはり日本酒です。冷酒もおいしいですが、最後は燗酒。とりわけ金属製の瓶を使って燗酒にする「焼燗」は乙(オツ)です。お湯で温めるのと違ったほのかな熱さが日本酒の懐の深さを教えてくれます。

「三四郎」といえば夏目漱石の小説を、あるいは柔道の姿三四郎の名前を思い浮かべる人が多いはずです。私は小さい頃から名作といわれる「三四郎」を何度も読もうとチャレンジしました。

しかし、最初の10ページぐらいで、もう前に進みません。名作といわれるだけあって文章がしっかりと連なっているため、読んでいても緊張が解けず、疲れてしまいます。夏目漱石の本はずっと手元にあるので、年齢を重ねたら三四郎を読めるかと思い、50歳代の時に再チャレンジしたことがあります。結果は同じです。これまでで夏目漱石の小説を最後まで読み切れたのは「明暗」だけです。あの猜疑心に満ち溢れた内容と文章力に漱石さんの力を見た思いです。

でも、旭川の三四郎は自然体で魅了され続けています。今年(2022年)1月にも訪れました。柳葉魚と焼燗を頼み、「やっぱり来てよかった」と思います。身欠にしんもうまった。焼燗をもう一度頼み、柳葉魚を再度頼みました。「はい、柳葉魚お替りですね」と焼き場のお兄さんは確認と注文を女将さんに伝えます。心の中で「3度目のお替わりはやめとこ」と誓い、燗酒をグイッと飲みました。

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