
「JAPOW」 世界に誇る雪質が北海道を、そして日本の近未来も暗示する
「JAPOW」。この言葉を知っていましたか。JapanとPowder Snowを組み合わせた造語で、世界最高級の雪質を表しています。
北海道旭川市の近郊にあるスキー場「カムイ・スキーリンクス」を訪ねた際、外国人スキー客向けの窓口で「BEST JAPOW」のタイトルを記載したガイドブックを見つけました。道内の主要スキー場を英語で詳細に説明しています。
JapanとPowder Snowの造語
「JAPOW」そのものはどこかで聞いたり見かけた言葉だと気づき、外国人のスタッフに「JAPAN SNOWの略ですか」と訊ねたら、略語の意味を教えてくれました。
粉雪を意味するパウダースノーと掛け合わせ、日本の自然の素晴らしさをアピールする。「おしゃれだな〜」と感じ入りましたが、北海道で経験する外国人スキー客の急増ぶりを思い浮かべると、「JAPOW 」がJAPANの近未来を暗示する英語に見えてきました。

北海道のパウダースノーが世界から高く評価されるのはとてもうれしいです。スキーは北海道で育ったこともあり、生まれた時から慣れ親しんでいるスポーツ。雪が積もったら、スキーを履いて近所の坂道を滑り、山に登ればスキーを背負って斜面や林道を抜けて麓まで降りるのが当たり前。
東京に移り住んでも、冬になれば北海道、東北、長野などへ向かってスキーを楽しんでいますが、やはり北海道の雪質が最高。この10年以上は道北の名寄市にあるピヤシリー・スキー場に通っています。「雪質日本一」と銘打った大きい看板が国道沿いに立っていますが、全く誇張ではありません。零下20度以下、ダイヤモンドダストが舞うなかを滑ると、スキー板に弾かれるパウダースノーが舞い上がります。雲の上を滑る快感を味わえることはできます。
全国の人気スキー場は外国人が多数派
ニセコ、富良野はじめ北海道のスキー場には世界からスキーヤー、スノーボーダーが押し寄せています。残念なのは、ニセコや富良野はホテル代やリフト券の高騰で日本人は弾き出され、今や外国人が多数派。旭川のカムイも国際リゾート構想が浮上しており、すでにゴンドラ乗り場は外国人であふれています。
「JAPOW」は日本の観光に大きな魅力を訴えるとともに、日本が直面する問題を象徴的な言葉です。ニセコの変貌ぶりは説明するまでもないでしょう。海外からホテルなどの投資が集中し、地価は全国トップの上昇率に。同じ現象が富良野市に広がり、北の峰が上位に躍り出ました。これから旭川市でも始まるのでしょう。
外国人客の行動パターンを考えると、北海道全域に及ぶのではないでしょうか。ニセコを国際スキーリゾートに押し上げたオーストラリア人のスキーヤーやボーダーは、アジア系観光客が増えると富良野や旭川など他のスキー場へ移動しています。ここ数年は、ピヤシリはじめ旭川以北のスキー場でも増え始めています。
これだけ外国人観光客が北海道内を移動すれば、多くのスキー場のHP、スキー場内のレストラン、周辺の宿泊施設も外国人客向けに模様替えします。英語の看板が当たり前になったニセコと同じ風景が他のスキー場で再現されるのでしょう。
北海道は全国最速の人口減が進んでおり、主要産業は農水産業と観光。安定した収入と雇用が見込める観光は地消地産を拡大しますから、相乗効果が期待できます。閑散とした街が外国人で賑わうことは地域経済にとってはプラスです。地域に落とす金額も日本人観光客より多いですから、経済効果もかなりあります。
地域経済に与える変革インパクトが大きいだけに、日本人が弾き出される印象を持つ人もいます。富良野市で通ったレストランではオーストラリアなど外国人客で賑わっていましたが、昨年から「地元のお客さんを大事にしたい」と店主は予約を断っていました。あくまでも一例にすぎませんが、北海道全域が直面する課題です。
人口減の日本にとって外国人は支え
外国人の増加は人口減に歯止めがかけられない日本にとって避けられません。農水産業、製造業、サービス産業すべての事業で深刻化している人材不足を外国人の労働力が補っています。北海道の在留外国人でインドネシアが昨年1年間で45%超も増え、第2位の人口となり、2026年はベトナムを抜いて第1位になるかもしれません。
衆院選挙でまるで外国人を排除するかのような対策を声高に叫ぶ政治家らが増えていますが、日本の近未来を支えるのは外国人です。共存共栄が試されています。JAPOWが日本の明るい未来だけでなく、大きな課題も突きつけているのだと痛感します。

