宇宙を眺めて地球を知る・名寄市の「きたすばる」透明な空気をいつまでも

 もう10年以上、北海道名寄市にはスキーで毎年通っています。名寄市の国道沿いには「雪質日本一」と大きく描かれた看板が立っていますが、間違いありません。気候条件が揃った時にはサンピラーが見えるとても素敵なゲレンデをまるで雲の上を滑空する気分を体感できます。

 ポール練習に励む中高生らのアルペンチーム、ゲレンデの林を飛び回るように滑る子供たち、見ているだけで自分も上手になった気分になるから不思議です。

 

 ピヤシリスキーを好きなった理由は雪質もありますが、太陽の光で輝く樹氷と冴え渡るコバルトブルーの美しさに驚愕したからです。濃い青色に染まった空の奥を想像すると宇宙が見える気がします。

 だから、でしょう。やはりピヤシリスキー場のそばに素晴らしい天文台がありました。名寄市立天文台。空気の透明度は日本でもトップクラスだそうで、北海道大学は日本で2番目に相当する1・6メートルの大口径の反射望遠鏡を設置しています。

 実は私は天文少年でした。父親をまさに拝み倒して反射望遠鏡を買ってもらいました。口径は15センチ。かなり大きいです。月のクレーターはもちろん、太陽の黒点、キリスト誕生時と同じ並びの惑星直列、土星、木星、アンドロメダ、すばるなど。未明まで観測した感動は数え始めたら切りがありません。

 社会人になって仕事帰り、澄み切った漆黒の夜空に満月、半月、三日月、金星、さそり座のベガなど見かけると、ストレスがふっと消えてしまうのを覚えました。

 名寄市立天文台の名称は「きたすばる」。直径10mのドーム式の屋根を備えた観測室です。繰り返しになりますが、公開天文台としては国内2番目の大きさとなる北海道大学の口径1・6メートルのピリカ望遠鏡があります。

 天文台の施設は公開されており、スタッフによる説明はとてもていねいで、わかりやすい。

 実際に反射望遠鏡を操作しながら、天文台から宇宙の謎に迫る役割を説明します。一般の人にも実際に星を見せてくれます。天文台は50センチと40センチの反射望遠鏡2台を備え、太陽など身近な宇宙を目の前に再現してくれます。

 併設するプラネタリムは天文台の目玉でしょう。楽しかった。宇宙、星座をみていると、銀河系を体感するとともに、地球の自然の雄大さを確認させられ、地球上でジタバタする人間ってなんだろうと似合わない感慨にふけってしまいます。

 名寄でスキーを楽しみ、宇宙を透視する。地球温暖化による気候変動を止めなければ、この楽しみは一瞬で消えてしまいます。うつつかの夢で終わらないように、努力したいです。

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