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山口県宇部市の巨大コンビナート

ウクライナ侵攻が突きつけるエネルギー安全保障、手詰まりの日本、どうなるサハリン2

ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。2021年後半から海外メディアが取り上げていましたが、日本のメディアは2022年1月までははるか遠いロシアとウクライナの紛争の延長線であるかのように扱い、この温度差にちょっと驚いていました。侵攻前の時点ですが、ある番組で専門家の意見として「日本には短期でも中期でも影響は小さい」とコメントを紹介していたのには驚きました。

日本政府は3月に入ってようやくエネルギー安全保障について考えを示し始めました。とりわけ英国のシェルが三井物産、三菱商事などと進めていた石油・LNGの大規模プロジェクト「サハリン2」から撤退すると早々と表明した影響は日本にとって打撃です。ロシア主導とは名ばかりで、三井物産、三菱商事が時間と精力を注いできました。シェルの撤退表明で日本のロシア制裁はより踏み込んで、身を切る内容を迫られるのは確実です。

欧州と日本の温度差に

いざロシアによる侵攻が始まってみると、この温度差は実は日本の世界観、もっと深掘りして指摘すればエネルギー安全保障に関する戦略、あるいはこれまで通り現実を直視しないエネルギー政策を反映したものだと気づかされました。

ウクライナは欧州の歴史を振り返れば、地政学的にも、そして豊かな穀倉地帯としても欧州の政治・経済を握る力学の要衝であることがわかります。かつてのフランスやドイツがロシアを攻め入る時にウクライナを手中に収めるかどうかが成否を決めるといわれたものでした。それだけにロシアがウクライナに侵攻したら、今後の外交戦略でどのような陽動作戦を展開するかと考えていました。

今回の侵攻で衝撃的な出来事は世界最悪の事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所を支配下に治めたことです。ロシアやベラルーシの国境から近い位置ですから、侵攻戦略の途中で通過することはあっても、原発事故による難しい管理などもあって実際に支配下に治めるのかどうかを注目していました。もし支配下に置いたとしても、チェルノブイリ原発の管理地域をまるで「人質」として欧米への交渉材料に活用するとは思いたくありませんが、そこから思い浮かぶのが日本の原発の安全保障のことです。

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