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「下請けいじめ」① トヨタグループが大幅に改善、多くの批判に回答 やればできる!!

 そのトヨタ、そしてグループ企業の取引条件は過去、どうだったのか。すでにご承知と察しますが、日本でも突出する厳しさで知られていました。部品の価格は毎年、下がるのが当然。理由は明快。大量購入している部品の原価は毎年、減価償却や生産効率向上で低下すると考えるからです。部品メーカーは厳しい取引条件でも生き残るため、生産工程の改善など経営努力に励まざるを得ず、それがトヨタを世界一の自動車メーカーに押し上げる原動力でもありました。トヨタが過去最高益を上げながら、部品メーカーは減益という相矛盾した時もありましたが・・・。

デンソー、豊田織機は公取委から警告

 そのトヨタの購買政策が表舞台でやり玉に上がったのが2022年12月。公正取引委員会は下請け企業との価格交渉で独占禁止法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがある13の企業・団体を公表しました。違反を認定しているわけではないものの、公表によって発注企業に警告を発し、下請けの中小企業の経営を改善させる意図でした。そのリストにデンソー、豊田自動織機製作所がありました。

 13社・団体は次の通り。デンソー、豊田自動織機、佐川急便、ドン・キホーテ、丸和運輸機関、三協立山、三菱食品、三菱電機ロジスティックス、日本アクセス、トランコム、大和物流、東急コミュニティー、全国農業協同組合連合会(JA全農)(順序不同です)。公取委は4030社に対しても注意するよう文書を送りました。

 デンソーと豊田自動織機の2社が俎上にあがったのはちょっとした衝撃。デンソーはトヨタ系列を代表する日本最大であり、世界でもトップクラスの自動車部品メーカー。豊田自動織機はトヨタ自動車を生んだ祖業、源流です。この2社はトヨタそのものを体現しているといって良いほどです。トヨタ同様、収益力は群を抜いています。

 公取委はトヨタ自動車こそ名指ししませんでしたが、デンソーと豊田自動織機の2社を「優越的地位の乱用」と公表することで「われわれは取引実態を詳細に把握しているのだ」とトヨタのみならず、アイシンなど系列大手に警告を発したと考えて良いでしょう。

 中小企業庁は公取委と二人三脚で下請けいじめ防止を進めています。定期的に公表している「下請けいじめ」採点調査でもトヨタなど系列、グループ企業は改善を求める評点を下されていました。

 さて2025年3月時点の評価はどう変わったのか。ちなみに今回の調査も30万社に調査票を送り、65725社が回答。価格交渉、価格転嫁、支払い状況の3つの視点から10点満点で採点しています。平均点7点以上をア、7点未満・4点以上をイ、4点未満・0点以上をウ、0点未満をエと分類しました。

系列、グループ軒並み高い評価へ転じる

 まずトヨタ自動車。価格交渉、価格転嫁、支払い状況いずれもアの評価です。思わず「へえ〜」と声が出ました。豊田自動織機もトヨタと同じで、すべてアの評価。デンソーは価格交渉と支払い条件でア、価格転嫁でイ。残念です。

 驚いたのはトヨタグループ、さらに取引が多い企業が軒並み、すべてアの評価を得ていることでした。順不同で並べると、トヨタ車体、トヨタ自動車東日本、豊田通商、豊通マシナリー、ジェイテクト、愛三工業、東海理化電機製作所の有力グループ企業がずらり。取引関係では日本碍子、日本特殊陶業。自動車メーカーでも資本関係があるSUBARU、いすゞ自動車、スズキ、日野自動車が続きます。

 トヨタグループは指示を出せば末端まで瞬時に伝わる一心同体の組織です。「下請けいじめ」批判を皆無にするようトヨタから下ったのが目に見える様です。「系列いじめ」「下請けから利益を掠め取る」など強い批判を浴びたかつてのトヨタが嘘の様です。それにしても、すべてアの評価を取れなかったデンソーはこっぴどく怒られたのでしょうね。

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