省庁改革「何も足さない 何も引かない」アナクロとアナログを味わうWhiskeyのよう

 「庁」が増え続けるようです。2021年9月に「デジタル庁」が発足、2023年4月には「こども家庭庁」が誕生するそうです。まだあります。岸田首相は2022年6月、米国の疾病予防管理センターCDCをモデルにした「感染症危機管理庁」を創設する考えを表明しました。毎年、一つずつ「庁」が創設される勘定になるのですか。省庁は20年ぐらい前に一度整理整頓したはずですが、「庁」が再び増えると、何が変わるのでしょうか。今のところ、身の回りは何も変わっていません。新組織が動き始めたら、変わるのでしょうか。最近、体験したことを綴ってみました。

マイナンバーカードの証明書取得で「目から鱗」を体験

 マイナンバーカードでの出来事です。「目から鱗」とはこのことかと思い知る貴重な体験でした。

 ここ2年以上、コロナ禍で海外出張や旅行ができなかったためか、パスポートの更新を忘れ有効期限が切れてしまっていました。再発行手続きには戸籍謄本が必要書類なのでマイナンバーカードを使い、コンビニで取得することにしました。地方公共団体情報システム機構のホームページによると、戸籍関係の書類は「いつでも、どこでも」と書いています。

 自身のマイナンバーカードは交付が始まった2016年に取得しており、すでに6年間過ぎています。これまでも会社関係の書類手続きで住民票を取得した経験があり、戸籍謄本も簡単に取得できると思ってコンビニに向かいました。店の隅っこにあるコピー機を見つけ、備え付けの画面を頼りに行政サービスの項目をタッチします。「証明書の交付」「マイナンバーカード」の二つが出てきました。証明書の交付を選びます。画面に現れるいくつかの指示に従い、本籍地のある場所を選ぶと「このカードはサービスを利用できません」という趣旨が表示されました。

審査に5日間で2度目の驚き

「えっ、本籍地を間違えた?」と一瞬驚きましたが、それはありえない。何度かを繰り返していたら、住民票は住んでいる行政地ならすぐに発行するけれども、戸籍謄本は住所と違うなら登録申請しなければいけないことがわかりました。

 ここで最初の「なぜ?」です。自分の戸籍をコンビニで行政サービスに登録することが理解できません。生まれて60年以上過ぎていますが、その間に結婚や転居などに合わせて必要な手続きは役所で済ましています。戸籍の証明書を改めて自ら登録する趣旨がどうしても理解できません。

 それでも近日中にパスポートの手続きを済ませたいと思い直し、気持ちを切り替えて登録手続きを進めました。「登録番号です」と出てきたのは良いのですが、発行するまでには審査期間として5日間待ってくださいと出てきました。

 2つ目の「なぜ?」。自分の戸籍謄本を取得するのになぜ審査されるのですか。もし審査で「あなたはダメです」と不合格になったら、「私は誰?」となります。しかも5開庁日と書いています。初めて見る漢字です。まさか役所が5日間開いている、言い換えれば5営業日待てというのか。デジタル上の仕事って日曜・祝日に関係するのかどうか知りませんが、普通は電子機器が書類を処理するでしょうから、あまり曜日は関係ないと思い込んでいました。デジタルで処理するというメリットは曜日を問わずということですから。

 住民基本台帳の際にも議論が巻き起こった個人情報の保護の観点から、この5日間がマイナンバーカードと戸籍謄本を照らし合わせる手間と時間と理解しても、マイナンバーのサービスは始まってからすでに6年間が経過しています。情報の紐付けなどでもっと短縮化して使い勝手の良いサービスに進化して良いではないか。素朴な疑問です。

 念ため、5日間過ぎの日曜日にパソコンで指定されたHPにアクセスして確認したら、「登録完了しています。利用できます」とあります。なあんだ、やはり曜日は関係ないんだとおもってコンビニに行ったら利用できませんのメッセージ。コールセンターに電話したら、「営業日5日間の意味です。明日月曜日に行ってください」。8時過ぎに行ったら、9時からです。まるで役所じゃないですか、市役所は8時30分から”営業”しています。窓口よりも遅い理由はなんでしょうか?マイナンバーカードに対してクレームしているわけではありません。役所の発想がカード、あるいはサービスを利用する目線になっていないことに驚いているだけです。

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