ソルテラが”タイヤ脱落”でリコール トヨタとスバルの提携も脱輪か

 スバルの電気自動車「ソルテラ」が販売中止となりました。すでに売却済みの新車も使用停止です。5月に発売したばかりの新車がリコールされ、さらに販売と使用を同時に停止するのは異例な事態です。リコールの場合、メーカーは不具合が発生する可能性が高いため、ディラーまで運転して部品交換などで修理するのが通例ですが、今回は使用停止です。よくあるリコールと見過ごすわけにはいかない何かを感じます。

よくあるリコールとは全く異質

 トヨタ自動車は2022年6月23日、電気自動車「bZ4X」とスバル「ソルテラ」の合計204台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出ました。タイヤを車体のシャーシーと装着するハブボルトと呼ばれる部品が急旋回や急制動を繰り返すと、ボルトが緩む恐れがあるそうです。手直しせずに走り続けた場合、タイヤが脱落する可能性があります。すでに販売した車については所有者に対して使用停止を求め、改善策が決まり次第、修理します。

 bZ4X・ソルテラはトヨタはbZ4X、スバルはソルテラのブランドでそれぞれ英国や米国で日本よりも先行して発売しており、海外市場からの情報によりリコールの届け出となりました。国内ではまだリコールの対象となった不具合や事故は発生していないそうです。スバルの資料によると、ソルテラ はトヨタ自動車が生産してスバルのブランドとして供給しているため、トヨタからリコールが届け出られたと説明しています。

 異例な措置が前提となったリコールの原因を見てみます。専門家ではないので深入りはできませんが、常識の範囲でわかることは明らかにしておきたいです。まずハブボルトとは、自動車のタイヤのホイールを取り付けするホイールナットと接着するボルトです。自身でタイヤ交換した経験がある人なら、すぐにわかるはずです。私も自宅で何度もタイヤ交換しており、このボルトが折れる事態を想定したことはありません。車体シャーシーとタイヤの接点です。ここが折れたら、大事故につながります。4輪車の一つが脱落したら、3輪車です。スタントマンじゃない限り、運転できません。

 1980年代半ば、ホンダが確か「シティ」だったと思いますが、ドライブシャフトが折れる恐れがあるとしてリコールを届け出ました。ドライブシャフトはエンジンから伝わる駆動力をタイヤの回転につなげる重要部品です。かなり深刻なリコールだと思いました。「ドライブシャフトが折れたら、車がフロントから躓いて止まりますから大丈夫です」とホンダ広報部が説明した時は呆れるだけでした。

リコールには自動車メーカーが抱える根源的な課題が

 以来、リコールの内容はメーカーの説明を鵜呑みにはしません。それぞれの自動車メーカーが抱える根源的な課題が暴かれる一例だからです。「たまたまリコールに」という事例はありえません。メーカーの弱点が浮き彫りになるのです。

 ハブボルトは当たり前ですが、安全性のカギを握る部品です。信頼性の高い強度で生産され、採用されます。通常なら折れるはずのないハブボルトが突然折れてしまったら、けっこう頭の中が真っ白になります。どの自動車メーカーでもこれまでの経験から「この車なら、この程度の強度が絶対に必要」という数値を持っています。

 そんな重要部品が新車発売してから、すぐに不具合が発生しました。経年劣化というよりは、開発・設計の段階から不具合の原因があったのではないかと推測していまします。まさかと思いますが、ボルトの強度の想定や設計などでなにか手違いがあったのでしょうか。首を傾げるしかありません。

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