ソルテラが”タイヤ脱落”でリコール トヨタとスバルの提携も脱輪か

 トヨタとスバルは過去にスポーツカーを共同開発していました。基本的な技術はスバルが開発、生産しています。今回のbz4X・ソルテラ はスバルにとって初めての電気自動車であり、トヨタが開発したシャーシーを土台に共同開発し、トヨタが生産しました。

スバルにとってソルテラの開発は未体験ゾーン?!

 ソルテラはスバルにとって特別な意味がありました。スバルは他社にはない水平対向エンジンは4輪駆動や低い重心を実現、その安定した走行性能はスバルブランドの強さの根源となっています。その絶対的な自信を持つ水平対向エンジンの搭載を諦め、ソルテラ で電気モーターで駆動力を捻出し、持ち味である荒地や雪路などでも安定した4輪駆動力を堅持しなければいけませんでした。

 肝心のシャシー設計はトヨタ主導です。トヨタの電気自動車の技術と経験をもとに底を這うように充電池を貼り付けて自動車の重心を低く設定しながら、スバル特有の吸い付く足回りを実現しようと努力しました。しかも、今回はソルテラ 上級車でタイヤホイールは20インチを装着する商品設計としました。

 従来のアウトバックやレヴォーグでも、スバルファンはメーカー設定のホイールを20インチホイールに交換して走行感覚や見映えを楽しんでいました。ソルテラの上級車は700万円近くの価格です。高級感などを醸し出したいと考えたのでしょうか。ディーラーのスタッフは「20インチホイールですから」と胸を張っていました。

 しかも、トヨタのbZ4Xと走りの違いを明確にするため、スバル独自の「X-MODE」などの技術を盛り込んでいます。走りの軽やかさを特徴にするトヨタのbZ4Xに対し、荒地や雪路でも走破できるソルテラ。対照的な走りを両車で実現することで、同一車種でありながらブランド別に棲み分けできるように設計しています。基幹部品のハブボルトがこの棲み分けに耐えられるような強度設計だったのでしょうか。

同一車種で2種類のブランドを開発する課題は盛り沢山

 スバルにとって未体験の電気自動車を開発しながら、足回りも外観もトヨタとの差別化も多くの注文に答えて、ほぼ同一車種でありながらソルテラ とbZ4xrという2車種を生み出す。トヨタとスバルの提携効果を明確に打ち出せる新車だけに、開発・設計、生産、販売から押し寄せる注文や課題は文字通り、盛り沢山。過去の新車開発とはかなり違ったものだったはずです。

 今回のリコールはトヨタとスバルのコミュニケーションの過程から発生した可能性はないのでしょうか。ゴールにたどり着くまでの経緯を改めて聞いてみたいです。 

 トヨタタイムズというCMでは「全部やる」と意気込む豊田章男社長が前面で映し出されています。その勢いとは裏腹に開発・生産現場は相当なプレッシャーがかかっていた恐れはないのでしょうか。欧米の自動車メーカー、例えばベンツなどをみてもエンジンを全廃して電気自動車に全面的に切り替える方針を明らかにしているのも、電気自動車の開発は「全部やる」ほど余力がないからです。

突貫工事で進める電気自動車の浮き足だった現状を表す

 ソルテラとbZ4Xのつまずきは、単なる部品の故障とは思えません。電気自動車の開発を突貫工事で進める日本の自動車産業の浮き足立った現状を偶然にもソルテラ・bZ4Xのタイヤ脱輪リコールとして現れたに過ぎないのです。根は深いのかもしれません。

 やっぱりスバルはその持ち味を生かして生き残るなら、新しい提携先を探した方が未来のためだと思います。BMWがお似合いだと思うけどなあ〜。

関連記事一覧

PAGE TOP