カメラに向かって笑う

南太平洋⑦ ブーゲンビル島 We have a big torch

日々の食と排泄行為に暗黙のルール

 これまで体を洗う、水を飲むを説明してきましたが、人間が生活する上で欠かせない食べる、そして排出することをまだ書いていません。食べるのは結果的に簡単でした。島の住民に頭を下げて分けてもらいました。ブーゲンビル島に取材する各国のジャーナリストたちは島外から食料を持参したいとはいえ、1週間は持ちません。限界があります。4日過ぎれば食料は無くなっていきます。南太平洋平和維持軍に頼めば食料をくれるのはわかるのですが、軍から自分たちで何とかしろと言われただけにちょっとは我慢します。食料が尽き始めて明日からどうしようかという時、島の住民から「ご飯を分けますよ」との提案がありました。実は私も含めて米を持参しているジャーナリストが何人かいました。米に水を加えてご飯として食べるためには、先ほど説明した通り、雨水を使うことになるので貴重な資源を使います。持参した米を分けてくれるなら、それに見合う炊いた米飯を分けるという提案です。大賛成です。焚火しながらご飯を炊く手間が省けます。それよりもなんとか明日からのメシが確保できるメドがつきます。島を訪れた最初の頃と同じように十人単位でグループになって島の集落を訪れて炊き立てのご飯をいただき歩き回ります。結構、笑える風景です。

ブーゲンビル島で夕食の準備をする

ブーゲンビル島で夕食の準備をする

 ブーゲンビル島を訪れた趣旨は平和の実現を世界に伝える目的でした。きっと島民の助けになると考えていました。それが島に到着から4日間ぐらい過ぎると、ジャーナリストたちが島民からご飯をもらいに歩き回ることになってしまいしました。どっちが助けられているのか。明白です。ご飯には腐敗が進まないようにココナツミルクが混ぜられています。個人の感想ですが、このココナツミルクの混ぜご飯がうまいのです。ご飯をいただきに訪れて島民の皆さんと「どっちが豊かなのかわからない」と笑い合ったのが忘れない風景です。

排泄する場所はお互いに阿吽の呼吸?

 自然の摂理として食べた後は排出が待っています。こちらも自然に一つのルールが出来上がります。廃虚となった集落で暮らすわけですからトイレはありません。というかトイレは廃墟になっています。ではどうするか。寝泊まりしている建物の周囲にある空き地で済ますしかありません。最初の3日程度は問題ありません。周りには広い草むらがあります。朝になると男女問わず無言でなんとなくあそこは大丈夫だろうという勘で適切な場所を探して排斥します。ところがやはり4日ぐらい過ぎると、だいたいな場所は排泄済みの場所になります。そうするとどうなると思います?。その頃になるとみんな顔見知りになっているので、朝に顔を合わせすと「私はさっきあそこに行ってきた」と申告します。それは男も女も関係ありませんというか気になりません。私もある女性から「あそこはもう使用済み」って言われて、「じゃああの辺はどう」「う〜ん、きれいだったから良いんじゃない」という会話を交わします。これが結構、爽やかな朝の会話になるのです。何のためらいもなく「おはようございます」と交わす同じ感覚です。想像できないと思いますが、かなり爽やかなです。恥ずかしいって感覚はゼロです。私には川のお風呂に次ぐぐらい自然の恵みを感じる啓示でした。

夕方に遊んでいた少年

夕方に遊んでいた少年

 

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