日本の自動車メーカーの売買が始まる!?EV、円安で見切るチャンスが訪れた
1ドル150円がもう目の前です。「良い円安、悪い円安」といった論議は吹き飛び、日本経済そのものの衰退が議論の遡上に登り始めています。
買収案件の噂が飛び交う
海外から日本の自動車メーカーを買いたいという憶測が飛び交っているのもその一つでしょうか。そう遠からず決まる案件が浮上しているそうです。その真偽はわかりません。深い水面下で進む交渉の進展度合いが街中の人間がわかるわけがありません。
不思議に腹に落ちます。自動車メーカーは100年に1度の変革期の真っ只中。18世紀、ジェームズ・ワットが発明した蒸気機関は産業革命の引き金となり、自動車の誕生をもたらしました。以来100年以上、ガソリンやディーゼルなどを燃料にピストン運動を利用したエンジンは、世界中に自動車を走らせ、世界経済の発展を担ってきました。
その成長の方程式が根底から崩れています。地球温暖化が世界経済にとって喫緊の課題となり、大量の温室効果ガスを排出する自動車は100年以上も使い続けてきた内燃機関エンジンを捨てるよう迫られています。自動車はボディー、エンジンやシャーシーなどを3万〜5万点の部品で組み立てて仕上がっています。
トヨタ、日産、ベンツ などと呼ぶ自動車メーカーは部品の開発・調達、組み立てを指示する司令部の存在で、業界用語で完成車メーカーと呼びます。主要部品は完成車メーカーが系列化する部品メーカーが生産しています。
完成車メーカーを頂点に多くの部品メーカーが裾野のように広がる産業構造を産業ピラミッドと呼ぶことがあります。トヨタの倍、デンソーやアイシンなど大手部品メーカーが続き、2次・3次の下請け企業が愛知県を中心に広がります。
EVは産業ピラミッドを崩す
エンジンを捨て去ることは、この部品メーカーで構築されたピラミッドが崩れ去ることを意味します。だからこそ、日本自動車工業会の会長でもあるトヨタ自動車の豊田章男社長はすべての自動車を電気自動車に切り替える議論に対し「全国550万人の雇用をどうするのか」という問題意識を投げかけているのです。
しかし、EVシフトは加速するばかりです。ベンツはじめ欧米の自動車メーカーはエンジン車から電気自動車へ切り替える動きが止まりません。世界最大の自動車市場である中国も政府の支援もあってEVの市場シェアは拡大しており、その余勢を駆って日本はじめ海外進出にアクセルを踏み出しています。ましてEVの先駆である米国テスラの勢いは驚くばかり。
全てのメーカーがEVへシフトできるか
日本の自動車メーカーもEVの潮流に乗り移ることができるのでしょうか。トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどは地力でEVを開発、生産できるかもしれません。乗用車、トラック問わず、すべてのメーカーがEVシフトできるとは思えません。
電気自動車の開発はモーターやバッテリーなど全く新しい分野への挑戦です。研究開発費、設備投資を含めて一から始めるとなると、企業体力が持つわけがありません。スバルがトヨタとEVを共同開発した「ソルテラ 」が典型例です。ブランドや走りはスバルの味付けですが、そのほかは事実上トヨタにお任せです。